日本大百科全書(ニッポニカ) 「三刀屋」の意味・わかりやすい解説
三刀屋
みとや
島根県東部、飯石郡(いいしぐん)にあった旧町名(三刀屋町(ちょう))。現在は雲南市(うんなんし)の中央部を占める地区。旧三刀屋町は1928年(昭和3)町制施行。1954年(昭和29)飯石、中野、鍋山(なべやま)の3村を合併。2004年(平成16)大東(だいとう)町、加茂(かも)町、木次(きすき)町、掛合(かけや)町、吉田(よしだ)村と合併、雲南市となる。斐伊(ひい)川支流の三刀屋川沿いに発達した雲南地方の中心在町(ざいまち)。三刀屋川沿いに国道54号が、斐伊川沿いに国道314号が通じ、松江自動車道の三刀屋木次インターチェンジがある。中世には三刀屋氏の居城があった。大正初期までは三刀屋川の舟運(高瀬舟)があり、三刀屋は上り舟の終点で問屋が多く、谷口集落で雲南地方の中心であったが、1914年(大正3)簸上(ひかみ)鉄道(JR木次(きすき)線)が木次町を通ったため衰退。農林業を主に養蚕、畜産も盛んであったが、近年は稲作が中心。兼業農家が多い。国指定重要文化財として、『絹本著色(けんぽんちゃくしょく)聖観音(しょうかんのん)像』(峯寺(みねじ)蔵)、『木造聖観音立像』(禅定(ぜんじょう)寺蔵)がある。ほかに、松本第1号墳(県指定史跡)などの遺跡や、雲見滝、三刀屋城跡などがある。
[小松 聰]