三郡山地(読み)さんぐんさんち

改訂新版 世界大百科事典 「三郡山地」の意味・わかりやすい解説

三郡山地 (さんぐんさんち)

福岡県中央部,直方(のうがた)平野と福岡・筑紫つくし)両平野の間に位置する弧状の山地北部は玄界灘に没し,南東部は嘉麻(かま)峠(500m)をへだてて火山岩からなる英彦(ひこ)山に続く。最高峰は山地のほぼ中央部,かつての糟屋(かすや),筑紫(ちくし),嘉穂(かほ)の3郡の境に位置する三郡山(936m)で,ここから北に向かってしだいに高度を下げ,犬鳴(いぬなき)峠三坂峠(170m)などに分断されている。三郡山南東の冷水(ひやみず)峠(283m)から南東部は古処(こしよ)山地と呼ばれることもある。筑紫(つくし)山地の一部をなし,標高500~600mおよび約300mに浸食平たん面がみられる。地質は北部は花コウ岩類を主体に,中生界の関門層群や古生界の変成岩類もみられ,中央部から南部にかけては変成岩類を主体に花コウ岩類,中生層も分布している。高度はあまり大きくないが交通の障害となっており,福岡県を東西に二分している。しかし山地北部には山陽新幹線,九州自動車道などが通じ,福岡県南部へ通じる筑豊本線には,冷水峠に長大なトンネルがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三郡山地」の意味・わかりやすい解説

三郡山地
さんぐんさんち

福岡県中部宗像(むなかた)海岸から南東方英彦(ひこ)山(1199メートル)まで約60キロメートルの弧状に続く地塁状の地塊山地。筑紫山地(つくしさんち)の一部をなす。かつての糟屋(かすや)、筑紫(ちくし)、嘉穂(かほ)の3郡の境界に位置する三郡山(936メートル)を主峰とし、おもに中生層の花崗(かこう)岩や三郡変成岩からなる山地で、北から西(にし)山(645メートル)、鉾立(ほこたて)山(663メートル)、宝満(ほうまん)山(869メートル)、古処(こしょ)山(860メートル)、馬見(うまみ)山(978メートル)などが並び、福岡県を東西に分ける。断層山地であるため高度のわりには古くから交通障害となってきたが、現在では主要道路が犬鳴峠(いぬなきとうげ)(367メートル)、八木山峠(やきやまとうげ)(228メートル)、冷水峠(ひやみずとうげ)(283メートル)を越えて福岡地区と筑豊(ちくほう)地区を結ぶ一方、JR鹿児島本線、篠栗(ささぐり)線、筑豊本線もトンネルで貫通して障害を克服しつつある。犬鳴山以南ではスギの植林が進み、三郡、宝満の山々は太宰府(だざいふ)県立自然公園、古処山一帯は筑後川(ちくごがわ)県立自然公園に含まれ、ハイキング客も多い。

[石黒正紀]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三郡山地」の意味・わかりやすい解説

三郡山地
さんぐんさんち

福岡県中部,福岡市東方の三郡山 (936m) を中心に,北西から南東へ約 60km弧状に連なり,福岡県を東西に2分する山地。筑紫山地の一部で,北部は中生層,中部は変成岩,蛇紋岩,南部は花崗岩などから成る。北端の宗像海岸は玄海国定公園,中部は太宰府県立自然公園,南部は筑後川県立自然公園に属し,南東端は英彦山地 (ひこさんち) に続く。

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世界大百科事典(旧版)内の三郡山地の言及

【筑紫山地】より

…中国山地が連続した山地であるのに対し,この山地は筑豊盆地,福岡平野,筑紫平野などにより地塊に分断されている。北東から本州と対峙する企救(きく)山地,紫川の東側に位置する貫(ぬき)山地と西側に位置する福智山地,筑豊盆地と福岡平野の間の三郡山地,筑後川の南の耳納(水縄)(みのう)山地,福岡・熊本両県にまたがる筑肥山地,福岡・佐賀両県境の脊振山地,佐賀県から長崎県にかけての肥前山地の総称である。これらの山地の多くは断層山地と考えられているが,まだ確認はされていない。…

※「三郡山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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