上代様(読み)ジョウダイヨウ

デジタル大辞泉 「上代様」の意味・読み・例文・類語

じょうだい‐よう〔ジヤウダイヤウ〕【上代様】

平安中期に完成した和様書風小野道風藤原佐理ふじわらのすけまさ藤原行成らに代表される。

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精選版 日本国語大辞典 「上代様」の意味・読み・例文・類語

じょうだい‐ようジャウダイヤウ【上代様】

  1. 〘 名詞 〙 平安中期に完成した和様の書風。小野道風・藤原佐理・藤原行成に至って大成した。江戸時代初期、近衛家熙が、これに学んで一流をたてた。上代流。
    1. [初出の実例]「尼寺の夜食は二時の物にます〈東潮〉 上代やうを乞巧の文(ぶん)桃隣〉」(出典:俳諧・陸奥鵆(1697)一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上代様」の意味・わかりやすい解説

上代様
じょうだいよう

唐様(からよう)(中国風の書法)に対することばが和様(わよう)であり、わが国独自の書風をさすが、なかでも平安時代に完成された和様を、とくに上代様とよぶ。

 奈良時代から平安初期にかけて影響を受けた中国書法のうち、とりわけ王羲之(おうぎし)の書は温和で品格が高く、平安朝貴族に愛好された。これを基盤として優れた書風を完成した三筆(さんぴつ)(空海、嵯峨(さが)天皇、橘逸勢(たちばなのはやなり))の名筆は、和様確立への橋渡しとなった。894年(寛平6)遣唐使が廃止となり、10世紀に入ると最初の勅撰(ちょくせん)歌集『古今和歌集』をはじめ和風文化がしだいに爛熟(らんじゅく)の度を増し、ついで羲之の再生といわれた小野道風(おののとうふう)の登場をみるころには仮名も完成し、美しい書体で日本語が表記されるようになった。仮名の柔和な書風は和様の確立に寄与し、とくに優美で豊潤な書風を樹立して和様の開祖とされる道風、続く藤原佐理(すけまさ)、藤原行成(ゆきなり)の「三蹟(さんせき)」を中心に、さまざまな上代様の名筆が生まれた。『文選(もんぜん)』『白氏文集(はくしもんじゅう)』をはじめとする中国の典籍や、わが国の勅撰集および藤原公任(きんとう)撰の『和漢朗詠集』などの文学作品、さらに能書の栄誉とされた御願寺(ごがんじ)の扉絵色紙形(しきしがた)、上表文(じょうひょうもん)、願文(がんもん)などもすべてこの上代様が根底となっている。平安朝貴族の美意識の結実した優雅な料紙に花開いた洗練された上代様の書風は、鎌倉以後もつねに規範とされ、さまざまな書流が展開されたのである。

[古谷 稔]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上代様」の意味・わかりやすい解説

上代様
じょうだいよう

書における和様の様式の一つ。平安時代中期に文化が国風化するのに伴い,書も唐様から次第に和様化した。年代的には紀貫之の時代から伏見天皇の時代までの書。漢字,かなともに対象とする。江戸時代から明治にかけて和様書道が尊重されたことから提言された説。

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旺文社日本史事典 三訂版 「上代様」の解説

上代様
じょうだいよう

平安時代の純日本風の書風
三蹟といわれた小野道風 (とうふう) ・藤原佐理 (さり) ・藤原行成 (こうぜい) らがおこした書風をさす。10世紀中ごろから唐様 (からよう) の書風を脱し,11世紀初頭に上代様と呼ばれる和様書道が完成。後世の書道の根幹となった。

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