下手の長談義(読み)へたのながだんぎ

ことわざを知る辞典「下手の長談義」の解説

下手の長談義

下手な上に長々と続いて、はた迷惑なこと。また、口下手な人にかぎって人前に出ると長話をすること。

[使用例] 馬琴以外の作者は実に時代と並行線を描いて居ましたが、馬琴は実に時代と直角的に交叉して居たのであります。時代の流れと共に流れ漂って居た人で無かったのであります。〈略〉下手の長談義で余り長くなりますから、これまでに致して置きます[幸田露伴*馬琴の小説とその当時の実社会|1908]

[使用例] お知合いの方があってお気の毒ですが、よく村会議員県会議員の候補に立つ人には下手の長談義が多いですね。〈略〉がにやの岩ちゃんが村会議員になった時に、その挨拶が下手の長談義であったので、下手の長談義というと、がにやの岩ちゃんと言って囃したものでした[折口信夫*古事記の研究|1934]

[解説] 近年は、短い時間でユーモアと機知に富む巧みなスピーチをする人が多くなりましたが、かつては、公式の場でつまらない話を延々とする人がよくいたものです。口下手な上に緊張して話が長くなり、修正もきかず、はた迷惑なものでした。
 古くからのことわざで、狂言ないきょう」や「なきあま」にも登場しています。この「談義」はふしだんせっきょうとも呼ばれ、元来寺院で行われた説教をさし、わかりやすい比喩と独特の節回しで仏法を説いて庶民の娯楽にもなっていました。上手な談義僧はたいへんな人気を博しますが、下手な者が長々としゃべると「下手の長談義高座の妨げ」と酷評されました。江戸後期には上方いろはかるたに採用され、絵札には高座の談義僧が描かれ、あくびをする聴衆の姿もありました。

〔英語〕Brevity is the soul of wit.(簡潔が機知の真髄)

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精選版 日本国語大辞典「下手の長談義」の解説

へた【下手】 の 長談義(ながだんぎ)

話の下手な人が、長々と話をすること。口下手な人に限って、長話をする傾向があること。下手の長口上
※虎明本狂言・泣尼(室町末‐近世初)「へたのながだんぎをてござる」

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デジタル大辞泉「下手の長談義」の解説

下手へた長談義ながだんぎ

話が下手なくせに、長々と話をすること。また、話の下手な人ほど長話をする傾向があること。

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