不立文字(読み)ふりゅうもんじ

精選版 日本国語大辞典 「不立文字」の意味・読み・例文・類語

ふりゅう‐もんじ フリフ‥【不立文字】

〘名〙 仏語禅宗で、経論などは悟りのためには一個方法手段にすぎないとしてしりぞけ、経論の説く真髄を捉え、経論を超えることを示したことば。不立字。ふりゅうもじ。ふりゅう。〔松山集(1365頃)〕

ふりつ‐もんじ【不立文字】

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デジタル大辞泉 「不立文字」の意味・読み・例文・類語

ふりゅう‐もんじ〔フリフ‐〕【不立文字】

禅宗の根本的立場を示す語。悟りの内容文字言説で伝えられるものではないということ。仏の教えは師の心から弟子の心へ直接伝えられるものであるという以心伝心境地を表したもの。ふりつもんじ

ふりつ‐もんじ【不立文字】

ふりゅうもんじ(不立文字)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不立文字」の意味・わかりやすい解説

不立文字
ふりゅうもんじ

禅宗の立場を表す語の一つで、禅の悟りの内容は文字やことばで伝えられるものでないことをいう。中国の翻訳仏教や学問仏教を批判し、実践仏教を主張した禅宗の特色を示す。教えを心から心に伝える意の教外別伝(きょうげべつでん)や以心伝心の語と連結して使用されることが多い。唐代の『都序(とじょ)』などでは達磨(だるま)のことばとする。「教外別伝、不立文字、直指人心(じきしにんしん)、見性成仏(けんしょうじょうぶつ)」の四句は宋(そう)代の『祖庭事苑(そていじえん)』に最初に表れる。文字への執着を破って真実に入ることを説いた大乗経典の『大般若経(だいはんにゃきょう)』や『楞伽経(りょうがきょう)』などの「不説一字」の思想を承(う)けて、禅宗で強調する。

[石井修道]

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百科事典マイペディア 「不立文字」の意味・わかりやすい解説

不立文字【ふりゅうもんじ】

禅宗の根本的概念。禅における悟りは文字や言語伝達されるものでなく,心から心への伝達(以心伝心)と,生命をかけた本質への直視(見性(けんしょう))こそ肝要とする。つまり経論という文字をはなれ,ひたすら座禅により釈迦の悟りに直入する意。

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四字熟語を知る辞典 「不立文字」の解説

不立文字

悟りは文字や言説によって言いあらわせるものではなく、心から心に伝えるべきものであるという、禅宗の立場を示したことば。

[使用例] ここまで来ると不立文字の詩人が出現する[唐木順三*道元|1955]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不立文字」の意味・わかりやすい解説

不立文字
ふりゅうもんじ

禅宗用語。経論の文字によらないで,師の心から弟子の心へと,直接に悟りの内容を伝えてゆく伝法の方法で,禅宗の宗風を最も端的に表現した句。 (→教外別伝 )

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