伝法(読み)デンポウ

デジタル大辞泉の解説

でん‐ぽう〔‐ポフ〕【伝法】

《「でんぼう」とも》
[名・形動]3が原義》
粗暴で無法な振る舞いをすること。また、その人や、そのさま。「伝法な男」
勇み肌であること。また、その人や、そのさま。多く、女性にいう。「意気がって伝法な口をきく」
無料見物・無銭飲食をすること。また、その者。江戸時代、浅草寺伝法院寺男が、寺の威光をかさにきて、境内の見世物小屋や飲食店で無法な振る舞いをしたところからいう。
「留場へ出る―が所(とこ)まで探しあるいたが」〈滑・浮世風呂・三〉
[名]師が弟子に仏法を授け伝えること。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんぼう【伝法】

法を授け伝えること。仏教ではそれぞれの宗派に秘伝,口伝とする法義,儀式があるので,これを伝える儀礼が厳重である。伝法にはまずその秘伝を授けるに足る器量,能力があるかどうかをみる行があって,これを多くは加行(けぎよう)と呼んでいる。一種の通過儀礼であるが,近代ではこれが形式化している。密教では加行と授戒を経て,伝法灌頂(でんぼうかんぢよう)を受けることができる。これによって阿闍梨(あじやり)となり,次の受者に伝法することができるようになる。

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大辞林 第三版の解説

でんぼう【伝法】

〔「でんぽう」とも〕
( 名 )
仏教で師から弟子へと仏の教えを伝えること。
〔江戸時代、浅草伝法院の奴やつこが寺の威光を頼んで乱暴な振る舞いをしたことから〕 見世物や劇場などに無銭で押し入ること。 「読売や大道売の-をして/滑稽本・浮世床 2
( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
悪ずれして荒っぽい言動をする・こと(さま)。そのような人をもいう。 「 -な男」
勇み肌であること。いなせなこと。また、そのさま。そのような人をもいう。多く女がいきがって、男のような言動をすることをいう。 「 -な口をきく」

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精選版 日本国語大辞典の解説

でん‐ぼう ‥ボフ【伝法】

〘名〙
① 仏語。師が弟子に仏法を授け伝えること。また、弟子が師より法を伝え受けることにもいう。
※性霊集‐九(1079)奉勧諸有縁衆応奉写秘密蔵法文「伝法聖者、非秘而伝一レ顕」
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)三「入宋伝法するまでも、内外の書籍をひらき」
② (江戸時代、江戸浅草の伝法院の寺男たちが、寺の威光をかさに着て、境内の飲食店・興行物などを無銭で飲食・見物してまわったところから。「でんぽう」とも) むりやりにはいりこみ、無料見物・無銭飲食をすること。また、その者。油虫。でんぼ。
滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「コウ静にせう。〈略〉チョッ気のきかねへでんぼうだ」
③ (形動) 悪ずれて粗暴な言動をすること。無法な振舞いをすること。また、その者やそのさま。あばずれ。ならずもの。
※歌舞伎・心謎解色糸(1810)序幕「裸はでんぼうの当り前、〈略〉寒の中でも真っ裸」
④ (形動) いなせなこと。勇み肌であること。また、その者やそのさま。多く女性について用いる。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「前土間に居るでんぼうははなくたの女」

でんぽう デンポフ【伝法】

〘名〙
① 京都市伏見区深草の伏見稲荷大社付近で製した土器の一種。大中小三枚重ねの素焼きの土器で、稲荷大社の初午に参詣人が買い求め、子どものままごとに用いたり、田畑の土に入れて豊作のまじないとしたりした。また、焙烙(ほうろく)やタバコの皿として用いられたという。その名は、稲荷山の伝法ケ池の底の土で造ったことによるといい、あるいは当初、摂津国伝法村(大阪市此花区伝法)で製したから(日次紀事)ともいう。でんぼ。伝法焼。→伏見人形
※案内者(1662)二「大小土器の茶碗の勢したるものを、田炮と名づけ〈略〉声々に売けるを手に手に買とり」

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世界大百科事典内の伝法の言及

【ほうろく(焙烙)】より

…ほうろく焼きは江戸時代から行われていた料理で,《料理談合集》(1822)には〈ほうろくへしほをもり,魚は何にてもしほの上へならへ,又,ほうろくをふたにして,上下に火を置てやく〉と見えるが,現在ではふつうオーブンで焼き,ポンスしょうゆで食べている。小型のほうろくは伝法(でんぼ∥でんぼう)と呼び,これを用いて焼く場合は〈でんぼ焼き〉といった。なお,茶の湯では炭手前の際,灰を入れて持って出るのはほうろくを使い,これを〈灰焙烙(はいほうらく)〉〈灰器〉などと呼んでいる。…

※「伝法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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