丑の日(読み)うしのひ

日本大百科全書(ニッポニカ)「丑の日」の解説

丑の日
うしのひ

十二支にあたる日。夏の土用の丑の日(7月20日ごろ)にウナギ、うどんなど「う」の字のつくものを食べると、夏やせしないなどの俗信はいまも広く行われている。また、寒(かん)(1月6、7日ごろ~2月3日ごろ)の丑の日に買った紅(べに)は、口中の荒れを防ぐという。九州の北部一帯では、霜月(11月)初丑の日を「丑の日節供」とも「丑の日祭り」ともいい、田の神を祀(まつ)る収穫祭の日としている。佐賀県などでは2月の丑の日を出丑(でうし)、11月の丑の日を上がり丑という。農作業の開始に先だって田の神を祀り、秋の収穫が終わったときも感謝の祭りをするということで、春に山の神が田に下りて田の神になり、秋には山に帰って山の神になるという全国的な伝承と一連のものである。西日本では農耕にを使うことが多かったから、その反映もあろう。取り入れのときに、二つかみほどの稲を丑の稲といって、御神酒(おみき)をあげて祀る。

[井之口章次]

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精選版 日本国語大辞典「丑の日」の解説

うし【丑】 の 日(ひ)

十二支の丑にあたる日。特に夏の土用の丑の日と、寒中の丑の日をいうことが多い。夏にはウナギを食べたり、(きゅう)をすえたりする。また、寒中には口中の虫を殺すなどの俗信から、特に口紅をつけたりする風習がある。
※狂歌・堀河百首題狂歌集(1671)恋「丑の日に思ひそめてやたらたらとあはで長びく恋もする哉」
※随筆・明和誌(1822頃)「近き頃、寒中丑の日にべにをはき、土用に入り、丑の日にうなぎを食す。寒暑とも家毎になす。安永・天明のころよりはじまる」

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百科事典マイペディア「丑の日」の解説

丑の日【うしのひ】

十二支の丑に当たる日。夏の土用中の丑の日をさす場合が多い。土用ウナギといってこの日ウナギを食べるが,ウリとかうどんなど,うの字のつくものを食べると暑気あたりしないという。この日とった薬草はききめがよいなどともいう。

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デジタル大辞泉「丑の日」の解説

うし‐の‐ひ【×丑の日】

十二支の丑にあたる日。特に夏の土用の丑の日と寒中の丑の日をいう。夏の土用の丑の日には、(うなぎ)のかば焼きを食べ、灸(きゅう)を据え、寒中の丑の日には、丑紅を買う風習がある。

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世界大百科事典 第2版「丑の日」の解説

うしのひ【丑の日】

十二支の丑にあたる日で,夏の土用の丑の日や2月と11月の丑の日など,この日を特別の日とする行事がいくつかみられる。夏の土用丑の日にはウナギなど脂肪の多い食物をとると夏やせしないとするのは一般的であるが,頭に〈う〉のつくウリ・梅干しなどを食べるとよいという所もある。この頃に牛に水浴させて休ませる風が各地にあったが,丑湯と称して人間が風呂をたてて入ったり,海水浴をするとにかからないとも言われていた。薬湯に入る所もある。

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世界大百科事典内の丑の日の言及

【ウシ(牛)】より

…仏教の牛頭天王(ごずてんのう)も牛の化身とされ,出羽三山の信仰でも丑年の参拝を利益多しとして多くの登拝者が集中した。干支(えと)における丑の年と牛とが結合したのは,縁起を説く宗教者と庶民の信仰が結合した結果であるが,年のみでなく5月や8月の丑の日などに家畜の安全を祈願して潮をあびせ,水浴をさせる風もある。これはもともと人間のみそぎのように災厄を除こうとする民間信仰の強い要求が基底にあったからである。…

【霜月祭】より

…稲の収穫祭で,民間の新嘗祭といえるが,祭りが実際の収穫期より1ヵ月ほど遅いのはこの間物忌(ものいみ)に服するためと説明されている。北九州の丑の日祭,奥能登のアエノコト,天草や長島の山祭,中国地方の先祖講,ダイジョウ講のほか,各地の氏神祭や大師講などが代表的なものといえる。また三遠信の国境地帯の遠山祭,冬祭,花祭や秋田県保呂羽(ほろは)山の霜月神楽のように神楽形式の祭りを行う場合も多い。…

【土用】より

…利用するほうでは,衣類や書物に風を通して虫干しする土用干しの風が全国的である。夏負け防止では土用丑の日の伝承が多く,ウの字のつくウナギ,ウリ,牛の肉や土用餅を食べる風習がある。静岡市にはユリの根を入れた土用粥を食べる所もある。…

※「丑の日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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