恨む相手をのろい殺すため丑の刻(午前2時ごろ)に社寺に参詣し,神木などに藁人形に五寸釘を打ちつけて祈願することを7日間つづけ,願いがかなうと相手が死ぬという信仰。頭に五徳を逆さにかぶり,その足にろうそくを立て,白装束を着て,人知れずこれを行うものとされた。とくに貴船の神はのろいをかなえてくれる神として有名であった。このような仕方ののろいは,中世の《平家物語》〈剣の巻〉や謡曲《鉄輪(かなわ)》などにみえている。江戸時代に多く行われた。
執筆者:小松 和彦
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…のろいのしかたにはいろいろあったようであるが,古代から現代まで人々にもっとも好まれた方法は,相手に見たてた人形(にんぎよう)(形代(かたしろ))や相手の所持品,髪や爪など身体の一部を責めるというものであった。近世には著名な寺社に特別な衣装をつけて〈丑の時参り〉をすれば,その神仏がのろいの願いを聞き届けてくれるという信仰が広く流布したが,この丑の時参りにものろい人形が用いられた。平安時代以降には調伏法を伝える密教系の僧や呪禁(じゆごん)・陰陽道系の宗教者たちに依頼してのろってもらう方法も社会の各層に浸透した。…
…このように,結果を発生させることがそもそも不可能であるために未遂犯さえ構成せず罰せられない行為を不能犯(または不能未遂)という。例えば,人の毒殺をはかったところ,使用した毒物の量が致死量に達していなかったために,相手を殺害するに至らなかったという場合には,殺人未遂が成立するが,相手をのろい殺そうとして行う丑(うし)の時参りによっては人を殺すことはできないから,この場合は不能犯であり,犯罪(未遂)は成立しない。 丑の時参りのような迷信犯が不能犯であり,犯罪を構成しないことは明らかであるが,不可罰な不能犯と可罰的な未遂犯の限界をどのように画するかは争われている。…
※「丑の時参り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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