20世紀日本人名事典 「中島 健蔵」の解説
中島 健蔵
ナカジマ ケンゾウ
昭和期の評論家,フランス文学者 東京大学講師;日中文化交流協会理事長。
- 生年
- 明治36(1903)年2月21日(戸籍:22日)
- 没年
- 昭和54(1979)年6月11日
- 出生地
- 東京・麴町
- 学歴〔年〕
- 東京帝国大学文学部仏文科〔昭和3年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 菊池寛賞(第2回)〔昭和29年〕,野間文芸賞(第30回)〔昭和52年〕「回想の文学」(全3巻)
- 経歴
- 東大卒後、副手として研究室に残り、昭和9年から37年に退任するまで28年間も万年講師を務めた。その間、「学芸自由同盟」「文芸懇談会」「文学界」に参加し、日本ペン倶楽部事務局長を務めたが、17年からは陸軍報道班員としてシンガポールに赴き、帰国後は写真雑誌の編集などに従事する。戦後20年代は日本文芸家協会、日本ペンクラブ、日本比較文学会、日本著作権協議会などの再建、創立にあたり、チャタレー裁判の特別弁護人を引き受けたほか数十の団体役員を兼ねて東奔西走。また30年代には35年まで新日本文学会の議長をつとめる。一方、31年に日中文化交流協会を結成して理事長となり、日中国交回復の機運づくりに貢献した。また現代音楽運動を支援し、新人の育成、内外音楽家の交流、作品の普及等を積極的に推進。その遺志に基づき57年中島健蔵賞が設立された。著書に「現代文芸論」「現代作家論」「アンドレ・ジード」「懐疑と象徴」「音楽とわたし」「証言・現代音楽の歩み」「自画像」など。ほかに写真集として「点描・新しい中国」「その人その頃」がある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報