丹生川(読み)にうがわ

日本歴史地名大系 「丹生川」の解説

丹生川
にうがわ

吉野町の青根あおねヶ峯(八五七・九メートル)に源を発し、槇尾まきお川・黒滝くろたき川となって西流し、黒滝村・下市町を経て西吉野村に入り、檜川迫ひかわせ川・むね川などの支流を合わせて賀名生あのうで北に転じ、五條市で吉野川に注ぐ。「大和志」の「丹生川」に「源自吉野山及赤滝山、経河分・長瀬、遶丹生社前、経歴長谷・西山・貝原・小古田・河岸・城戸・河合・黒淵・大日川・向加名生・魚梁瀬やなせ・和田・江出えつる・老野等過滝村入宇智郡」とある。

上流下市町大字長谷ながたに丹生川上にうかわかみ神社下社や下流五條市丹原たんばら町の丹生川にうがわ神社は、ともに延喜式内社ともいわれ、下市町大字栃本とちもとや西吉野村大字大日川おびかわにある丹生神社など、丹生川上神を祀る社が川筋に連なる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丹生川」の意味・わかりやすい解説

丹生川
にゅうかわ

岐阜県北部、大野郡にあった旧村名(丹生川村(むら))。現在は高山市の東部にあたる地域。旧丹生川村は、2005年(平成17)周辺の2町6村とともに高山市に編入。旧村域は、宮川の支流小八賀(こはちが)川・荒城(あらき)川の上流域にあたり、乗鞍岳(のりくらだけ)西斜面から高山市街地の東郊に及ぶ。西部の平坦(へいたん)地などでは稲作・野菜作が、東部山間地では肉用牛が飼養される。トマトとホウレンソウの生産が多い。国道158号に沿う日面(ひおも)には鍾乳(しょうにゅう)洞があり、下保(しもぼ)の千光寺は国指定天然記念物の五本スギや円空作の多くの彫刻で有名。荒川家住宅は国指定重要文化財。平湯峠(1684メートル)から乗鞍岳の畳平(たたみだいら)に至る乗鞍スカイライン(2003年から一般車両通行禁止)では、植物帯の変化の観察や飛騨(ひだ)周縁山岳が遠望できる。

[上島正徳]

『角竹喜登著『丹生川村史』(1962・丹生川村)』『『丹生川村史』全6巻(1997~2000・丹生川村)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丹生川」の意味・わかりやすい解説

丹生川
にゅうかわ

岐阜県北部,高山市北東部の旧村域。南東の長野県境に乗鞍岳 (3026m) ,南境に日影平山 (1595m) ,北西境に国見山 (1318m) があり,大部分飛騨山脈の西斜面に含まれる。 1889年村制。 2005年高山市に編入。主産業は農林業で,特に製材が行なわれる。名刹千光寺 (参道の五本スギは国の天然記念物) ,国の重要文化財である荒川家住宅などが知られる。一部は中部山岳国立公園に属する。

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