二重ローン問題(読み)にじゅうろーんもんだい

共同通信ニュース用語解説 「二重ローン問題」の解説

二重ローン問題

住宅ローンの返済中に自然災害家屋が被災するなどして、生活再建のために新たな借金を強いられること。東日本大震災の復興対策として、法的整理ではなく金融機関被災者の話し合いで債務減免を決めるルール個人版私的整理ガイドライン」が導入された。その後も相次ぐ自然災害に適用するため「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が2015年12月に策定され、16年4月1日から運用が開始された。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二重ローン問題」の意味・わかりやすい解説

二重ローン問題
にじゅうろーんもんだい

災害などによって二重にローンを支払わなければならなくなった個人や事業者が、困難に直面しているという社会問題。二重債務問題ともいう。地震台風などによって住居機械設備などを失っても、残っているローンの支払いは続けなければならない。一方で、生活のためには住宅を、事業継続のためにはその基盤を再建する必要があり、新しい借入れを行わなければならない。そのため、過去からの債務と新たな債務、両方のローンを背負うことになる。2011年(平成23)の東日本大震災でも、被災者が過大な債務に苦しむ「二重ローン問題」が多数発生した。その救済のため、債務整理を調停する第三者機関「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」は、被災者が債務減免を受けた後で手元に残った資金の範囲内で購入した不動産を、震災前のローン返済に充当する必要のない自由財産とすると決めた。

 また、事業者に対する支援を行うものとしては、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)に基づき、2012年2月に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が設立された。東日本大震災で受けた被害により過大な債務を負い、対象地域で事業の再生を図ろうとする事業者を対象に、金融機関等が有する債権の買い取りなどを通じて債務の負担を軽減し、最長で15年間の再生支援を行う。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例