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二重ローン問題 にじゅうろーんもんだい

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知恵蔵2015の解説

二重ローン問題

災害などが原因で、二重に住宅ローンなどを支払わなければならないという社会的な問題のこと。大規模災害などが発生すると、これによって住宅が倒壊するなどの被害が広く発生する。災害によって住居を失っても、そのローン支払い続けることになる。しかし、住宅を再建するには、更に新たな住宅ローンなどを背負うことになる。このように、多数の人々が災害により再建資金調達に困難を極めたり、二重の住宅ローンで苦しんだりする。
自然災害による住居倒壊などの被害は少なくなく、これまでも二重ローンなどに苦しむ人も多かった。しかし、失われた個人の資産は保険なども含む個人の自助努力や義援金などによって賄われるのが基本であり、法制度では私有財産に対する公的な補償は存在しなかった。このような中で、1995年に阪神・淡路大震災が発生した。前例のない被害の規模で、住居を失う被災者も多数に上った。天変地異に起因する場合は、契約により火災保険その他の補償が支払われないなどの事情もあり、被災者の生活再建は難渋を極めた。この救済措置として98年にできたのが被災者生活再建支援法である。
同法の成立により、倒壊家屋の撤去や住宅ローンの利払いなどに一定の公的援助が可能となった。2011年3月の東日本大震災では、津波や福島第一原子力発電所事故により、更に大規模で広範な被害が発生した。当該区域の個人のみならず、被災した中小事業者にも事業の継続や再開に重大な支障をきたすものが多数に上った。このため、被災事業者の元本と利子の返済を猶予する「二重ローン救済法案」が議員立法で求められ、同年11月には株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法が成立した。翌年2月には同機構が業務を開始し、農林水産事業者などについての金融機関の債権を買い取り、過大な債務の軽減を進めている。この他に、再建の見通しが比較的確実な中堅企業を主な対象とする、被災各県に設立された産業復興機構なども同様の取り組みを行っている。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

二重ローン問題

もともとあるローンの支払いに加えて、災害からの再建などのために新たな借金を重ねて返済負担が極端に重くなる問題。阪神大震災の被災者の中には今も二重ローンに苦しんでいたり、負担が重すぎて自己破産したりした例もある。

(2011-06-08 朝日新聞 朝刊 5総合)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

二重ローン問題
にじゅうろーんもんだい

災害などによって二重にローンを支払わなければならなくなった個人や事業者が、困難に直面しているという社会問題二重債務問題ともいう。地震や台風などによって住居や機械・設備などを失っても、残っているローンの支払いは続けなければならない。一方で、生活のためには住宅を、事業継続のためにはその基盤を再建する必要があり、新しい借入れを行わなければならない。そのため、過去からの債務と新たな債務、両方のローンを背負うことになる。2011年(平成23)の東日本大震災でも、被災者が過大な債務に苦しむ「二重ローン問題」が多数発生した。その救済のため、債務整理を調停する第三者機関「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」は、被災者が債務減免を受けた後で手元に残った資金の範囲内で購入した不動産を、震災前のローン返済に充当する必要のない自由財産とすると決めた。
 また、事業者に対する支援を行うものとしては、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)に基づき、2012年2月に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が設立された。東日本大震災で受けた被害により過大な債務を負い、対象地域で事業の再生を図ろうとする事業者を対象に、金融機関等が有する債権の買い取りなどを通じて債務の負担を軽減し、最長で15年間の再生支援を行う。[編集部]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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