二階(読み)にかい

精選版 日本国語大辞典「二階」の解説

に‐かい【二階】

〘名〙
① 上・下の二層になっているもの。
※御堂関白記‐寛弘八年(1011)七月一七日「二櫛筥・硯筥・火取等奉之」
② 室内用の調度のひとつで、二層の棚を設け、日用品などを置くもの。棚の二段ある厨子。また、とびらのあるのを「厨子」、とびらのないのを「二階」と区別して呼ぶこともある。
※蜻蛉(974頃)上「と書きつけて、にかいの中に置きたり」
③ 平屋の上にさらに一層重ねて造った家屋、または、その上層の部屋。また、三層以上ある建築物で、下から二層目の階。
※吾妻鏡‐文治二年(1186)五月二五日「入或民家二階之上
④ (━する) 二つの段階。転じて、位をひとつ跳び越えて昇進すること。
※平家(13C前)一一「越階とて二階をするこそありがたき朝恩なるに、是はすでに三階なり」
⑤ 近世、特殊な建物で③の構造になっているもの。
(イ) 湯女(ゆな)風呂の場合。二階が浴客の遊び場になっている。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)五「姉が小路の和泉風呂へ入相の比より行て〈〉二階(カイ)にあかれば」
(ロ) 楽屋の場合。実際は三階で、座頭はじめ立役その他のいる所。
※談義本・根無草(1763‐69)後「迎の提灯烈欠(いなづま)を欺き、二階(ニカイ)のさはぎは雷の落るかと疑ふ」
(ハ) 遊女屋の場合。そこに部屋を持っている遊女をもいう。
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一二(1762)梅三「二階からまねくとはうそしがみ付き」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典 第2版「二階」の解説

にかい【二階】

近世以前の日本建築では,鐘楼金閣銀閣のような楼閣建築を除くと,二階あるいはそれ以上の階に部屋を設けた建築は非常に少なかった。法隆寺金堂のような古代の大規模な仏堂は外見二階建てであるが,二階に床板を張って部屋としているものは少ない。三重塔,五重塔,多宝塔のような層塔建築も,部屋を設け仏像を祭るのは一階のみであった。しかし鎌倉時代に中国の寺院を模して建てられた禅宗寺院では,山門や法堂などの二階に部屋を設けて仏像を祭るものがあり,二階と呼ばれていた。

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