五明(読み)ごめい

精選版 日本国語大辞典 「五明」の意味・読み・例文・類語

ご‐めい【五明】

[1] 〘名〙 (「古今注‐輿服」の「五明扇舜所作也。既受堯禅、広開視聴、求賢人以自輔、故作五明扇焉」から) 扇の異称。
※殿上詩合(1056)扇裏有秋風〈藤原憲房〉「幸属南薫虞舜徳 五明裁製献明王
咄本醒睡笑(1628)三「持参の扇を見て亭主ことばに、『五明はかたじけなや』と礼あるを聞き」
洒落本・讚極史(1789‐1801)「松葉のおっす、雞舌のざんす、五明(ゴメイ)のほんざんすかへ」

ご‐みょう ‥ミャウ【五明】

〘名〙 (「明」は学んで明らかにすることの意) 古代インドで用いられた学問の分類法。仏教ではこれに内・外(げ)を分け、「内の五明」を仏教徒として学ぶ因明(いんみょう)(=論理学)・声明(しょうみょう)(=言語学・文学)・内明宗教哲学)・医方明医術)・工巧明(くぎょうみょう)(=工芸・技術・暦数など)の五つとし、「外の五明」を普通、声明・医方明・工巧明・呪術明・符印明とする。
懐風藻(751)釈道慈伝「釈道慈〈略〉妙通三蔵之玄宗、広談五明之微旨」 〔大唐西域記‐二〕

ごめい【五明】

江戸中期の俳人吉川氏。那波三郎右衛門祐祥の五男、のち吉川惣右衛門吉品の養子となる。秋田富商。年少より俳諧に親しみ、成人して蕉風を志す。五二歳で家業を離れ、小夜庵に隠栖して俳諧に専念。寛政期には多数の門人を擁し、乙二(おつに)・長翠・素郷らとともに奥羽四天王に数えられた。編著「霜の声」「桜紙」など多数。享保一六~享和三年(一七三一‐一八〇三

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デジタル大辞泉 「五明」の意味・読み・例文・類語

ご‐みょう〔‐ミヤウ〕【五明】

古代インドで用いられた学問の分類法。仏教では、仏教徒の学ぶないと、世俗一般のとに分ける。内の五明は、声明しょうみょう(文法・文学)・工巧明くぎょうみょう(工芸・技術・暦数)・医方明(医学)・因明(論理学)・内明(哲学・教義学)、外の五明は、ふつう、声明・工巧明・医方明・呪術明・符印明とする。

ご‐めい【五明】

《中国古代舜帝が作ったという「五明扇」の略》の異称。
「持参の扇を見ては…、―はかたじけなや、と礼あるを」〈咄・醒睡笑・三〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五明」の意味・わかりやすい解説

五明
ごみょう
pañca vidyā

古代インドの学問分類法。「明」は学問の意味。5部門から成り,知識人の必須科目とされた。言語,文典に関する学問 (声明 ) ,工芸,技術,算暦に関する学問 (工巧明 ) ,医学,薬学,呪法に関する学問 (医方明) ,論理学 (因明 ) ,仏教の根本精神を明らかにする学問 (内明) の5部門をいう。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「五明」の解説

ごめい【五明】

岐阜の日本酒。酒名は、扇の別称で、「末広」を意味し、そのめでたさにあやかって命名。仕込み水は揖斐川の伏流水。蔵元の「五明酒類醸造」は江戸後期創業。現在は廃業。蔵は大垣市船町にあった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「五明」の解説

五明 ごめい

吉川五明(きっかわ-ごめい)

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