五木(村)(読み)いつき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五木(村)」の意味・わかりやすい解説

五木(村)
いつき

熊本県中南部、球磨郡(くまぐん)にある村。1815年(文化12)の村絵図にみられた村域を現在も保っている。「五木子守唄(うた)」で知られるこの村は、村央を北東から南西に延びる石灰岩帯で二分され、北半は古生代堆積(たいせき)岩(秩父(ちちぶ)系)、南半は中生代堆積岩(四万十(しまんと)群)からなるが、地形的には1000~1500メートルの峰々からなる九州山地で占められている。人吉(ひとよし)市からバスの便があるが、道路網の整備(国道445号、県道宮原五木線)に伴って熊本市から乗用車で1時間半の位置にある。人吉(相良(さがら))藩確立以前から、五木谷の地頭家(三十三人衆)支配があり、山地斜面の焼畑農業(麦、アワアズキサツマイモサトイモ、大豆、陸稲)を中心に展開した旦那(だんな)・名子(なご)関係は昭和20年代後半まで続いた。面積252.92平方キロメートル、人口931(2020)。

[山口守人]


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