五榜の掲示(読み)ゴボウノケイジ

デジタル大辞泉 「五榜の掲示」の意味・読み・例文・類語

ごぼう‐の‐けいじ〔ゴバウ‐〕【五×榜の掲示】

慶応4年(1868)、五箇条の御誓文発布の翌日に明治政府が民衆に対して出した5枚の高札五倫の道の勧め、徒党強訴逃散キリシタン禁止など、旧幕府の民衆政策とかわらない内容であった。

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精選版 日本国語大辞典 「五榜の掲示」の意味・読み・例文・類語

ごぼう‐の‐けいじゴバウ‥【五榜の掲示】

  1. 慶応四年(一八六八)三月一五日、明治政府が民衆の順守すべき五箇条を記して掲げた五枚の高札。内容は、一、五倫の道を勧め、殺人放火窃盗を禁じる、二、徒党、強訴、逃散を禁じる、三、キリシタン、邪宗門を禁じる、四、開国和親を命じる、五、士民の本国脱走を禁じる、というもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「五榜の掲示」の意味・わかりやすい解説

五榜の掲示 (ごぼうのけいじ)

1868年(明治1)3月15日,維新政府が旧幕府の高札を撤去し,代りにたてた五つの太政官高札。政府は前日の五ヵ条の誓文で,国家の基本方針を明らかにし,この高札では人民の遵守すべき禁令をはじめて示した。第1札は五倫の道徳を守ること,殺人・放火・強盗の禁止,第2札は徒党・強訴・逃散の禁止,第3札はキリスト教・邪宗門の禁止,第4札は外国との交際は万国公法にしたがうとし,外国人への暴行を禁止,第5札は士民の本国地からの離脱を禁止している。第1~3札は,定三札といわれる永世の定法であり,内容的には旧幕府の人民支配の基本法令を継承するものであった。また第4,5札は,幕末以来の草莽層の攘夷主義運動を取り締まることを目的としており,覚札といわれる一時的な掲示であった。これらの高札は,政治権力の交代を人民に徹底させ,高まりつつあった反政府運動をきびしく抑圧する意図を示す。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「五榜の掲示」の解説

五榜の掲示
ごぼうのけいじ

1868年(明治元)3月15日に明治新政府が出した高札(こうさつ)による5種の禁令。維新直後の対民衆政策を示すもので,第1札は五倫の道の奨励鰥寡(かんか)・孤独・廃疾の者への憐憫,殺人・放火・窃盗の禁止,第2札は徒党・強訴(ごうそ)・逃散(ちょうさん)の禁止,第3札はキリシタン邪宗門の禁制で,これらは定書として永年掲示され,第4札の外国人への加害の禁止と,第5札の士民の本国脱走禁止と建言書提出許可は,覚書臨機の事項や布令の公示とされた。内容的には江戸幕府の対民衆政策を踏襲したものにすぎず,なかでも第3札は条約改正問題とからんで明治初期の外交問題に発展した。その後,第5札は71年10月に,残る4札も一般に熟知されているという理由で,73年2月に撤去された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五榜の掲示」の意味・わかりやすい解説

五榜の掲示
ごぼうのけいじ

明治政府の対民衆政策の基本を示したもの。五か条の誓文の翌日、1868年(慶応4)3月15日、政府は旧幕府の高札(こうさつ)を撤去し、かわりに立てた5条の制札で、第一は五倫の道を勧め、殺人、放火、窃盗を禁じ、第二は徒党、強訴、逃散(ちょうさん)を禁止し、第三では切支丹(きりしたん)、邪宗門を禁じた。ここまでは旧幕府の伝統的な庶民統治策を継承したもので、定三札とし永世法であるとされた。ついで第四で開国和親を命じ、第五では士民の本国脱走を禁じた。この2条は覚札(おぼえさつ)すなわち一時の掲示である。このように、新政府は五か条の誓文で公議を標榜(ひょうぼう)し開明的な姿勢を示したが、一方で、旧幕府の伝統をも継承する体質をもっていた。

[佐々木克]

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百科事典マイペディア 「五榜の掲示」の意味・わかりやすい解説

五榜の掲示【ごぼうのけいじ】

1868年,明治政府が〈五ヵ条の誓文〉の翌日,公布した制札。〈五条の高札〉とも。旧幕府の高札を撤去し,代わりに五倫道徳遵守,徒党・強訴・逃散の禁止,キリシタン・邪宗門の禁止,外国人への暴行の禁止,郷村脱走禁止の5ヵ条を示した。旧幕府の民衆統制を継承しており,維新政権の性格をよく示している。

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旺文社日本史事典 三訂版 「五榜の掲示」の解説

五榜の掲示
ごぼうのけいじ

1868年3月,明治新政府の庶民政策を示した5枚の太政官高札
(1)五倫の道の勧め,(2)徒党・強訴・逃散 (ちようさん) の禁止,(3)キリシタン・邪宗門の禁止,(4)開国和親の方針と外人殺傷の禁止,(5)士民の本国脱走の禁止,の5札よりなる。初めの3条は江戸時代の庶民統治政策をそのまま継承しており,成立当初の新政府の非近代的な本質をよく示している。

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