1868年(明治1)3月15日,維新政府が旧幕府の高札を撤去し,代りにたてた五つの太政官高札。政府は前日の五ヵ条の誓文で,国家の基本方針を明らかにし,この高札では人民の遵守すべき禁令をはじめて示した。第1札は五倫の道徳を守ること,殺人・放火・強盗の禁止,第2札は徒党・強訴・逃散の禁止,第3札はキリスト教・邪宗門の禁止,第4札は外国との交際は万国公法にしたがうとし,外国人への暴行を禁止,第5札は士民の本国地からの離脱を禁止している。第1~3札は,定三札といわれる永世の定法であり,内容的には旧幕府の人民支配の基本法令を継承するものであった。また第4,5札は,幕末以来の草莽層の攘夷主義運動を取り締まることを目的としており,覚札といわれる一時的な掲示であった。これらの高札は,政治権力の交代を人民に徹底させ,高まりつつあった反政府運動をきびしく抑圧する意図を示す。
執筆者:羽賀 祥二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1868年(明治元)3月15日に明治新政府が出した高札(こうさつ)による5種の禁令。維新直後の対民衆政策を示すもので,第1札は五倫の道の奨励,鰥寡(かんか)・孤独・廃疾の者への憐憫,殺人・放火・窃盗の禁止,第2札は徒党・強訴(ごうそ)・逃散(ちょうさん)の禁止,第3札はキリシタン邪宗門の禁制で,これらは定書として永年掲示され,第4札の外国人への加害の禁止と,第5札の士民の本国脱走禁止と建言書提出許可は,覚書で臨機の事項や布令の公示とされた。内容的には江戸幕府の対民衆政策を踏襲したものにすぎず,なかでも第3札は条約改正問題とからんで明治初期の外交問題に発展した。その後,第5札は71年10月に,残る4札も一般に熟知されているという理由で,73年2月に撤去された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
明治政府の対民衆政策の基本を示したもの。五か条の誓文の翌日、1868年(慶応4)3月15日、政府は旧幕府の高札(こうさつ)を撤去し、かわりに立てた5条の制札で、第一は五倫の道を勧め、殺人、放火、窃盗を禁じ、第二は徒党、強訴、逃散(ちょうさん)を禁止し、第三では切支丹(きりしたん)、邪宗門を禁じた。ここまでは旧幕府の伝統的な庶民統治策を継承したもので、定三札とし永世法であるとされた。ついで第四で開国和親を命じ、第五では士民の本国脱走を禁じた。この2条は覚札(おぼえさつ)すなわち一時の掲示である。このように、新政府は五か条の誓文で公議を標榜(ひょうぼう)し開明的な姿勢を示したが、一方で、旧幕府の伝統をも継承する体質をもっていた。
[佐々木克]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新