高札(読み)こうさつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高札
こうさつ

戦国時代以降,明治初期にいたるまで,広く行われた法令公布の一形式。明代の教民榜文 (ぼうぶん) の影響を受けて成った制度。法の周知徹底,基本法の強調,告訴の奨励などの機能において,すぐれた点が認められ,為政者によって重んじられた。江戸期においては,親子兄弟札切支丹札,徒党札などが,各町村に立てられ,また,浦方には,諸国浦札が掲げられていた。江戸市中の高札場は,日本橋をはじめとして,6ヵ所にあり,「札の辻」といわれる地名は,今も残されている。明治政府は,前代の制を受継ぎいわゆる「五榜」を中心とする高札を多く立てたが,それらは,1873年に,その大半が撤去され,残されたものも,75年にはまったく姿を消した。

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デジタル大辞泉の解説

こう‐さつ〔カウ‐〕【高札】

主に江戸時代、法度(はっと)禁令、犯罪人罪状などを記し、一般に告示するために町辻や広場などに高く掲げた板の札。明治6年(1873)廃止。たかふだ。
相手を敬ってその手紙をいう語。

たか‐ふだ【高札】

こうさつ(高札)
入札で最も値段の高いもの。

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百科事典マイペディアの解説

高札【こうさつ】

法令などを公示する掲示板。制札(せいさつ)ともいう。古くは〈たかふだ〉といった。中世に犯罪事実の公示に用いることが多く,懸賞などをかけて通報・逮捕などの協力を求めた。また公示自体が社会的な制裁を意味した。江戸時代には立札(たてふだ)ともいった。禁止・制限を掲示することが多く,場所・目的を特定して立てられたものと,一般民衆に基本的な法令を知らせたものとがある。高札場は市街中心の人目をひきやすい辻,橋詰・出入口などに設けられた。1873年廃止。
→関連項目禁制五榜の掲示日本橋(地名)箱根関

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世界大百科事典 第2版の解説

こうさつ【高札】

〈たかふだ〉ともよみ,立札ともいう。江戸時代に行われた法令公示の一方式。ヒノキ,梅などの板札に法令を墨書して高く掲げたもの。禁止,制限を内容とすることが多く,制札の称もある。この種の法令告知方法は,奈良時代末すでに存在したが,鎌倉~室町時代を通して発達し,江戸幕府も治政上大いに活用した。特定の地に特定の目的で立てられるものと,広く一般民衆に基本的な法令を知らせたものとに分けられ,前者の例に堀札,川越場札,関所札,浦高札などがある。

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大辞林 第三版の解説

こうさつ【高札】

相手の手紙を敬っていう語。 「御-拝見致しました」
法度はつと・掟書おきてがき、罪人の罪状などを記し、人通りの多い所に高くかかげた札。室町時代からあったが、江戸時代に最も盛んに行われた。制札。立札。たかふだ。

たかふだ【高札】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高札
こうさつ

立札(たてふだ)ともいう。法令伝達の一形式で、法度(はっと)、掟(おきて)、禁制を板面に墨書したもの。庶民に対し法の周知徹底、順法と基本法の強調を意図した。高札は古代から行われたが、とくに江戸時代に発達した。通常、幕府の高札を公儀高札、大名・旗本のものを自分高札という。高札のなかでも忠孝札、火付禁止札、切支丹(きりしたん)札、毒薬札、駄賃定(だちんさだめ)札を五札(ごさつ)または大高札(だいこうさつ)といい高札の中心となった。高札を掲示する所を高札場(ば)といい、都市や町村の要衝に設置した。明治政府も高札制度を踏襲したが、1873年(明治6)太政官(だじょうかん)布告をもって廃止された。[神彰利]
『三浦周行著『法制史の研究』(1918・岩波書店) ▽服藤弘司著『幕府法と藩法』(1980・創文社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

こう‐さつ カウ‥【高札】

〘名〙
① 掟、条目、禁制などを板に書き、市場、町辻、追分、橋詰、渡し場など、人目につきやすい場所に掲げたもの。法を迅速に周知させるため作られたもので、すでに奈良末期からみられるが、江戸時代のものが特に有名。内容により、親子札、キリシタン札、毒薬札、駄賃札、火事場札、徒党札、抜荷札、浦高札などに分けられた。明治六年(一八七三)二月撤廃。制札。たかふだ。〔文明本節用集(室町中)〕
※日葡辞書(1603‐04)「Cǒsat(カウサツ)。タカ フダ」
※浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)五「源の頼光、勅宣の御高札(カウサツ)に任せ」
② 入札の中で価格の最も高いもの。たかふだ。
③ 他人を敬って、その書簡をいう語。お手紙。
※実隆公記‐明応七年(1498)五月紙背(江南院龍霄書状)「高札畏悦候」
[補注]①②の漢字の読みは「こうさつ」か「たかふだ」か確定できない。古辞書類を除いては、中世に「こうさつ」の確例は少なく、「たかふだ」が一般的だったと思われる。

たか‐ふだ【高札】

〘名〙
① 中世・近世で、禁制(きんぜい)・法度(はっと)・掟書(おきてがき)・犯罪人の罪状などを記し、寺社の門前や人通りの多い場所に立てた板札。私事によるものもあった。立札。こうさつ。
※平治(1220頃か)下「作者に鎌田政家と書きたる高札をこそ立てたりけれ」
※太平記(14C後)一二「其の高札(タカフダ)に『大塔宮の候人〈略〉昼強盗を致す間、誅する所也』とぞ書かれたりける」
※浄瑠璃・凱陣八島(1685頃)三「おほくのなんじょをしのぎつつ、ではの国に入給ふ。是にたかふだの立て有」
② 入札価格の高いもの。こうさつ。
※浮世草子・棠大門屋敷(1705)一「普請奉行、与茂四郎を召れ、銘々高札におく書なし、その方安札に慥かなるおく書」
[補注]①に関して、「高札」は「たかふだ」とも「こうさつ」とも読めるが、中世では古辞書類を除いては「こうさつ」の確例は少ない。→「こうさつ(高札)」の補注

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世界大百科事典内の高札の言及

【御触書集成】より

…狭い範囲の人や役所にあてられたものを,とくに御達(おたつし)という。高札(こうさつ)も御触書の一種と見てよい。御触書は老中,若年寄の合議体である御用部屋で方針を定め,奥右筆組頭が調査,起案し,将軍の裁可によって制定法となる。…

【強訴】より

…順法的な訴訟もふえ,代表越訴も少なくならなかったが,18世紀後半以降は激しい全藩的強訴が農民闘争の中心となり,諸藩の政策の変更を迫った。幕府は70年(明和7)4月,全国に高札を立てさせ,そのなかで〈よろしからざる事に百姓大勢申合〉せることを徒党,〈徒党して強いて願い事企〉てることを強訴と規定し,褒賞を約して訴人をすすめた。多数者の行動である強訴では頭取と呼ばれる指導者が活躍し,刑死するとひそかにまつられ,義民となった。…

【高札】より

…この種の法令告知方法は,奈良時代末すでに存在したが,鎌倉~室町時代を通して発達し,江戸幕府も治政上大いに活用した。特定の地に特定の目的で立てられるものと,広く一般民衆に基本的な法令を知らせたものとに分けられ,前者の例に堀札,川越場札,関所札,浦高札などがある。後者では,1711年(正徳1)定められた5枚の高札が,幕末まで1世紀半の間維持されて著名である。…

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