デジタル大辞泉 「五香」の意味・読み・例文・類語 ご‐こう〔‐カウ〕【五香】 1 密教で、修法のときなどに用いる5種の香。内容は場合により異なり、栴檀せんだん香・沈香・丁子ちょうじ香・鬱金うこん香・竜脳香などが主。2 仏語。最高の悟りを開いた人が見ることのできる五つの功徳くどくを香にたとえた語。3 江戸時代、王子権現で出した小児用の薬。胎毒を下すとされた。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「五香」の意味・読み・例文・類語 ご‐こう‥カウ【五香】 〘 名詞 〙① 仏語。密教で作壇のとき地下に埋めたり、修法のとき焼いたりする五種の香。沈香(じんこう)、栴檀香(せんだんこう)、丁子香(ちょうじこう)、鬱金香(うこんこう)、龍脳香をいうが、これは場合に応じて異なる。〔拾芥抄(13‐14C)〕② 仏語。最高のさとりに至ったものが見える戒、定、慧、解脱、解脱知見の五つの功徳である五分法身を香にたとえたもの。③ 江戸時代、江戸王子権現から出した万病の妙薬。初めは沈水香、栴檀香、丁子香、鶏舌香、安息香の五種を紅絹の袋などに入れて嬰児に吸わせたが、後には、まくり、甘草、大黄などを調合した煎薬となる。[初出の実例]「五条の売薬屋には五香(ゴカウ)の合置」(出典:浮世草子・色里三所世帯(1688)上) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「五香」の意味・わかりやすい解説 五香うーしゃん 中国の混合香辛料の一種。五つの香辛料、茴香(ホイシャン)(フェネル)、花椒(ホワチヤオ)(サンショウ)、桂木(コイムー)(シナモンまたはカシア)、丁香(ティンシャン)(クローブ)、陳皮(チェンピー)(ミカンの皮)の粉末をブレンドしたもの。豚肉や豚脂を使った中国料理には欠かせない。この五香の茴香のかわりに大茴香(スターアニス)を使った五香もあり、それぞれの地域によって、混合する香辛料が少しずつ異なる。[齋藤 浩] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例