仙台平(読み)せんだいひら

日本大百科全書(ニッポニカ)「仙台平」の解説

仙台平
せんだいひら

絹袴地(はかまじ)の一種であるが、著名なことから男物袴地の総称として使われる。組織は平織あるいは平織と斜文の混合組織とするもので、構成糸は経緯(たてよこ)とも生糸のまま染色して使い、縞(しま)糸部分だけ練(ねり)染糸とする。あるいは経緯とも練糸を使うこともある。製織に際しては緯糸を槌(つち)打ちするか、水に浸して打ち込み、生地(きじ)の締まりをよくする。

 仙台平の起源は、仙台伊達(だて)藩主伊達綱村(つなむら)が西陣の織工小松弥右衛門(やえもん)を招聘(しょうへい)し、幕府・諸侯への贈答品および臣下への下賜品生産として製織を始め御国織(おくにおり)と称したが、このうち袴地はとくに精巧で諸侯の間で好評を博し、仙台平の名称で全国に知られた。

 精好仙台平(せいごうせんだいひら)というのは精好織の系統を引くもので、合糸にした緯糸を漏緯(ぬれぬき)として打ち込んだものをさす。この伝統を引くものとして甲田綏郎(こうだよしお)(1929― )が2002年(平成14)重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

[角山幸洋]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「仙台平」の解説

仙台平
せんだいひら

仙台地方で産出される織物の高級袴地。大坂夏の (1615) ののち,伊達政宗帰国に際して連れ帰った京都の呉服商によって,西陣のすぐれた絹織物が伝えられたが,江戸時代中頃に仙台藩で西陣の職工小松弥右衛門を招いて織らせた地が,仙台平の起源といわれている。やや厚手の織物で,袴に仕立てると独特の張りがあり,きぬずれのさわやかな音が好まれる。現在はほとんど機械織になっている。

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百科事典マイペディア「仙台平」の解説

仙台平【せんだいひら】

絹の袴(はかま)地の一種で男性の礼装用。江戸時代に仙台で製され現在も主産地である。地に茶や灰色縞柄(しまがら)が多く,普通は平織で,の縞糸は太め練糸を用い,他は生糸で織るので(うね)状になる。特に精巧に織ったものを精好(せいごう)平という。

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事典 日本の地域ブランド・名産品「仙台平」の解説

仙台平[染織]
せんだいひら

東北地方、宮城県の地域ブランド。
仙台市で製作されている。江戸時代初期、4代伊達藩主・伊達綱村が京都から織匠を招き、袴・法被能装束などを織らせたのが始まりという。宮城県産の生糸で織られ、しわになりにくく耐久性に富んだ高級絹織物。宮城県伝統的工芸品。

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精選版 日本国語大辞典「仙台平」の解説

せんだい‐ひら【仙台平】

〘名〙 宮城県仙台地方で産する精巧な厚地の絹織物。また、それで仕立てたはかま。
※随筆・飛鳥川(1810)「又仙台平、精好平、龍紋平など世の中一同華美に随て」
※黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一「茶縞の仙台平(センダイヒラ)を穿いて」

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デジタル大辞泉「仙台平」の解説

せんだい‐ひら【仙台平】

宮城県仙台地方で産する精巧な絹の袴地(はかまじ)。また、それで仕立てた男物の袴。元禄(1688~1704)ごろ、仙台伊達藩主が西陣から織工を招いて始めたという。
男物袴地の総称

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世界大百科事典 第2版「仙台平」の解説

せんだいひら【仙台平】

絹袴地の一種。仙台藩主5代伊達吉村が正徳年間(1711‐16)京都西陣の織工,小松弥右衛門を招いて織り始めたと伝えられる。幕府諸侯への贈答,臣下への下賜品を織らせるためで,御国織と称されたが,好評を博し,のちに仙台平として広まった。経緯糸ともに練絹糸を使い平織にし本練平ともいう。茶,紺,ねずみの配色が多く緯畝(よこうね)のしっかりした極上の絹袴地でおもに男子礼装用。仙台,米沢などで織られるが,近年需要は少ない。

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