江戸中期の長崎貿易の取引方法の一つで,銀・金流出抑制のための舶載品と銅,海産物などとの物々交換。1685年(貞享2)から年間取引高を唐船は銀6000貫目,オランダ船は金5万両(銀で3000貫目)の〈定高(さだめだか)〉に限ると,積戻りの荷物が増え,抜荷(ぬけに)が激増した。幕府はこれの防止と元禄期の外国品の需要増にこたえ,また財政的理由から利銀運上を条件に,95年(元禄8)江戸商人伏見屋四郎兵衛に定高商売の残り荷物銀1000貫目分を銅と交換することを許し,翌年には銀5000貫目分とした。97年から長崎助成のため同町年寄の経営となり,98年には定高貿易の運上をもつかさどる機関として長崎会所を発足させ,これに銀2000貫目分のおもに海産物である俵物・諸色による代物替(追御定高)を認可した。追御定高取引は1708年(宝永5)から止み,代物替の名称も正徳新例(海舶互市新例,1715)では廃せられたが,固定的な定高取引の緩和手段として,有余売,ついで雑物替(ぞうもつがえ)として存続した。
執筆者:中村 質
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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