代物替(読み)しろものがえ

精選版 日本国語大辞典 「代物替」の意味・読み・例文・類語

しろもの‐がえ‥がへ【代物替】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 品物と品物を交換すること。物々交換
    1. [初出の実例]「秋と冬としろものかへや月と雪〈静寿〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)三)
  3. 江戸時代長崎で行なわれた外国貿易の一方法幕府金銀流出を防ぐため貿易額の制限を行なったとき、元祿八年(一六九五伏見屋四郎兵衛が、制限外に銀千貫目に当たる銅で交易をすることを許されて行なった貿易。以後、若干の変化はあったが、宝永五年(一七〇八廃止まで続いた。
    1. [初出の実例]「長崎といふ所は、〈略〉此の外に五千貫目の代物替(シロモノガヘ)」(出典浮世草子好色敗毒散(1703)一)

だいもつ‐がえ‥がへ【代物替】

  1. 〘 名詞 〙 金銭によらず、他の品物との交換によって必要な品物を得ること。物々交換。しろものがえ。

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改訂新版 世界大百科事典 「代物替」の意味・わかりやすい解説

代物替 (しろものがえ)

江戸中期の長崎貿易の取引方法の一つで,銀・金流出抑制のための舶載品と銅,海産物などとの物々交換。1685年(貞享2)から年間取引高を唐船は銀6000貫目,オランダ船は金5万両(銀で3000貫目)の〈定高(さだめだか)〉に限ると,積戻りの荷物が増え,抜荷(ぬけに)が激増した。幕府はこれの防止と元禄期の外国品の需要増にこたえ,また財政的理由から利銀運上を条件に,95年(元禄8)江戸商人伏見屋四郎兵衛に定高商売の残り荷物銀1000貫目分を銅と交換することを許し,翌年には銀5000貫目分とした。97年から長崎助成のため同町年寄の経営となり,98年には定高貿易の運上をもつかさどる機関として長崎会所を発足させ,これに銀2000貫目分のおもに海産物である俵物・諸色による代物替(追御定高)を認可した。追御定高取引は1708年(宝永5)から止み,代物替の名称も正徳新例(海舶互市新例,1715)では廃せられたが,固定的な定高取引の緩和手段として,有余売,ついで雑物替(ぞうもつがえ)として存続した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「代物替」の意味・わかりやすい解説

代物替
しろものがえ

江戸時代初期の海外貿易における支払い方法の一つ。長崎を窓口とする海外貿易による金銀流出を防止するため,江戸幕府に貞享1 (1684) 年以来,貿易額の制限を行なったが,金銀以外に銅を支払い手段とする輸入枠を許した。この商法を代物替という。宝永5 (1708) 年廃止された。

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