留置場は警察が、拘置所は法務省が所管する収容施設。刑事収容施設法は、警察が逮捕、送検した容疑者について、検察官の請求に基づいて裁判所が勾留を決定した後も、拘置所に身柄を移さず、そのまま留置場に収容することを認めている。捜査の便宜などが理由とされるが、警察が24時間管理し、捜査と留置が一体となっていることから、日弁連は「自白の強要や過酷な取り調べが起きやすく、
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刑事手続上,被勾留者の拘禁を行う場所に関しては,刑事訴訟法に直接の規定はなく,勾留状の記載事項として〈勾留すべき監獄〉が掲げられているのみである(64条,207条1項)。監獄法によれば,監獄は,懲役監,禁錮監,拘留場,拘置監に分かれ,被告人・被疑者の勾留場所は拘置監とされる(1条1項)。しかし,同法は,一方で〈警察官署ニ付属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得〉と定める。これを代用監獄という。したがって,勾留の場所は,拘置監としての拘置所(支所)または代用監獄としての警察留置場のいずれかということになる。実際上は,起訴前の勾留(被疑者勾留)は代用監獄,起訴後の勾留(被告人勾留)は拘置所が原則とされる。刑事司法の運用上,代用監獄は大きな機能を果たしてきたわけである。
ところが,近時,被疑者勾留の本質・性格と関連させて,起訴前勾留の場所も本来拘置所であるべきだとして代用監獄の活用を批判する説が有力に展開され,現在,〈代用〉は〈例外〉性を意味するか否か,代用監獄制度は廃止すべきか存置すべきかをめぐり,理論上・実務上盛んな論議が交わされている。代用監獄の活用に反対する説は,(1)捜査機関である警察が同時に被疑者の身柄を確保することは,当事者主義構造に反し,ひいては自白強要,防御権行使の妨害等の人権侵害を導きやすいこと,(2)代用監獄は設備が劣悪で勾留目的の達成からも被勾留者の人権保障の面からも問題が多いこと,などを根拠とする。代用監獄の維持を主張する説は,(1)迅速な組織捜査を推進し,かつ効果的な被疑者取調べを実施するうえで必要欠くべからざる制度である,(2)代用監獄における被疑者の人権には十分配慮しており,かりに不当な取扱いが生じたとしても,それは別途規制されるべきである,と反論する。
その後,警察当局は代用監獄制度批判論の主張を考慮して,警察の留置業務を刑事部門から離して管理部門である総務・警務部門に移管するとともに,代用監獄の構造設備の改善,留置事務担当者に対する教養訓練の充実を図りつつあるとされる。しかし,代用監獄設置の趣旨や憲法・刑事訴訟法の理念に照らせば,第三者的立場の拘置機関が被疑者の身柄確保に当たるのが筋であろう。現在,この問題は監獄法全面改正の中心論点の一つであり,国家財政上の事情も含めて多様に議論されている。
執筆者:三井 誠
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… 監獄法は〈警察官署ニ付属スル留置場〉を監獄に代用することを認めている(1条3項)。これを代用監獄という。実際上も,とくに被疑者を勾留する場所として広く活用され,現在では,起訴された被告人の勾留は拘置所,被疑者勾留は代用監獄が原則というのが実情といわれる。…
※「代用監獄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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