伊予(市)(読み)いよ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊予(市)」の意味・わかりやすい解説

伊予(市)
いよ

愛媛県中部、伊予灘(なだ)に臨む市。1955年(昭和30)に郡中(ぐんちゅう)町と南山崎、北山崎、南伊予の3村が合併、市制施行して成立。2005年(平成17)中山双海(ふたみ)の2町を合併、市域は海沿いの南西部と、山間部の南部へ大きく広がった。JR予讃(よさん)線、予讃線支線(内子線)、伊予鉄道郡中線、国道56号、378号が通じ、松山自動車道の伊予インターチェンジなどが設置されている。松山平野の南端にあり条里制の跡をみるが、伊予灘沿岸は砂丘地帯で、中心集落で市街化した郡中は、17世紀初めの開発地であり、郡中港は大洲(おおず)藩の外港として築港をみた。郡中はもともと松山藩領であったが、1635年(寛永12)大洲藩に替え地となった。港は、明治になって松山市との間に伊予鉄道が、昭和に入って国鉄が開通するまでは、米や木材などの積み出しなどでにぎわった。「花かつを」、削り節などの水産加工業は全国的に知られている。「花かつを」はカツオサバなどを原料とした簡便なだしのもとで、水産物問屋が技術導入の結果パック製造に成功して飛躍的発展を遂げ、全国一の生産を誇っている。松山市の近郊都市として野菜ミカンなどの生産も盛んである。双海地区では漁業(チリメンが特産品)、中山地区では林業が盛んで、唐川(からかわ)のビワ、中山のクリなどの特産品がある。面積194.44平方キロメートル、人口3万5133(2020)。

[横山昭市]

『『伊予市誌』(1986・伊予市)』


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