伊勢の宇治および山田から頒行されていた暦。伊勢神宮の御師が神宮のお札とともに持参するみやげ物としては暦がもっとも喜ばれ,初めは京暦(経師暦)や丹生(にう)暦が用いられていた。伊勢の御師たちが全国に配る暦は膨大で,やがて自然のなりゆきとして伊勢暦が生まれ(1632年(寛永9)より),ついには江戸時代の代表的暦に成長した。伊勢暦の起源は丹生暦で,その内容も特徴である折本という形式も丹生(三重県松阪市の西)に借りている。
表紙に地震なまずと称される絵が描かれ,その中に日本60余州の名が書き込まれ,〈いせこよみ〉と平仮名で題のつけられた綴暦がある。その題名のために伊勢暦と誤られることがあるが,これは江戸で出版されたと推定されている。
執筆者:内田 正男
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伊勢国(三重県)宇治および山田の暦師により版行され、伊勢神宮の御師(おんし)(祈祷師(きとうし))によって、神宮の大麻(たいま)とともに全国各地へ土産(みやげ)として配られた暦。いわゆる賦暦(ふれき)であって売暦ではない。その起源は戦国乱世の時代、京都の経師(きょうし)暦を全国の利用者から依頼されて伊勢神宮の御師が届けていたことによる。経師暦の需要が増加するにつれて、御師の地元の山田に暦師が生まれ、伊勢暦が生まれるに至った。1632年(寛永9)の暦を森若太夫(たゆう)が出したのがその最初で、以後、暦師も増え、貞享(じょうきょう)改暦(1684)ごろにはその総数13人、18世紀初めには20人にも及んだ。暦の発行数も200万部に達したといわれる。なお、伊勢暦は1年を通して版が2枚からなる折(おり)暦である。
[渡辺敏夫]
『渡辺敏夫著『日本の暦』(1976・雄山閣)』
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[丹生(にう)暦]
三重県の丹生というところの賀茂家から版行されていた暦で,16世紀の中ごろにはすでに発行されていたことは確実。のちに伊勢から頒布された伊勢暦におされて発行部数はわずかになってしまった。
[伊勢暦]
伊勢の宇治および山田から版行され,それぞれ内宮暦,外宮暦とも呼ばれた。…
※「伊勢暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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