伊勢暦(読み)イセゴヨミ

デジタル大辞泉 「伊勢暦」の意味・読み・例文・類語

いせ‐ごよみ【×勢暦】

近世土御門家の暦の写本もとに、伊勢宇治などの暦師が版行した暦。伊勢神宮御師おしがおふだに添えて全国に配った。

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精選版 日本国語大辞典 「伊勢暦」の意味・読み・例文・類語

いせ‐ごよみ【伊勢暦】

  1. 〘 名詞 〙 近世、伊勢の暦師が作製し、伊勢神宮御師(おし)土産として全国に配った暦。頒暦の代表とされた。細長い折本で、明治一六年(一八八三以後は神宮で刊行するようになった。神宮暦(じんぐうれき)。《 季語・新年 》
    1. 伊勢暦
      伊勢暦
    2. [初出の実例]「年徳の神秘やひらく伊勢暦〈方女〉」(出典:俳諧・小町踊(1665)春)

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改訂新版 世界大百科事典 「伊勢暦」の意味・わかりやすい解説

伊勢暦 (いせごよみ)

伊勢の宇治および山田から頒行されていた暦。伊勢神宮の御師が神宮のお札とともに持参するみやげ物としては暦がもっとも喜ばれ,初めは京暦(経師暦)や丹生(にう)暦が用いられていた。伊勢の御師たちが全国に配る暦は膨大で,やがて自然のなりゆきとして伊勢暦が生まれ(1632年(寛永9)より),ついには江戸時代の代表的暦に成長した。伊勢暦の起源丹生暦で,その内容も特徴である折本という形式も丹生(三重県松阪市の西)に借りている。

 表紙に地震なまずと称される絵が描かれ,その中に日本60余州の名が書き込まれ,〈いせこよみ〉と平仮名で題のつけられた綴暦がある。その題名のために伊勢暦と誤られることがあるが,これは江戸で出版されたと推定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊勢暦」の意味・わかりやすい解説

伊勢暦
いせごよみ

伊勢国(三重県)宇治および山田の暦師により版行され、伊勢神宮の御師(おんし)(祈祷師(きとうし))によって、神宮の大麻(たいま)とともに全国各地へ土産(みやげ)として配られた暦。いわゆる賦暦(ふれき)であって売暦ではない。その起源は戦国乱世の時代、京都の経師(きょうし)暦を全国の利用者から依頼されて伊勢神宮の御師が届けていたことによる。経師暦の需要が増加するにつれて、御師の地元の山田に暦師が生まれ、伊勢暦が生まれるに至った。1632年(寛永9)の暦を森若太夫(たゆう)が出したのがその最初で、以後、暦師も増え、貞享(じょうきょう)改暦(1684)ごろにはその総数13人、18世紀初めには20人にも及んだ。暦の発行数も200万部に達したといわれる。なお、伊勢暦は1年を通して版が2枚からなる折(おり)暦である。

[渡辺敏夫]

『渡辺敏夫著『日本の暦』(1976・雄山閣)』


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百科事典マイペディア 「伊勢暦」の意味・わかりやすい解説

伊勢暦【いせごよみ】

江戸時代伊勢神宮御師(おし)が,その代官を使いとして毎年行った檀那回りに,御札(御祓大麻(おはらいたいま))に添えて全国に配った暦。江戸時代の代表的な暦であった。もとは京都土御門家の校閲を経たが,明治21年(1888年)以降は東京天文台の計算により,伊勢の神宮司庁から神宮暦として頒布され,終戦により独占の特権を失うまでは,唯一の正式な暦とされていた。
→関連項目暦注

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊勢暦」の意味・わかりやすい解説

伊勢暦
いせごよみ

伊勢で刊行された暦。戦国時代の頃から伊勢の御師 (おし) が,伊勢詣のみやげとして大麻 (神符) とともに諸国の人々に配ったもので,江戸時代には伊勢神宮祭主藤波家が朝廷に奏達して土御門家の暦の写本を申受け,それを伊勢の暦師に刊行させた。

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世界大百科事典(旧版)内の伊勢暦の言及

【暦】より


[丹生(にう)暦]
 三重県の丹生というところの賀茂家から版行されていた暦で,16世紀の中ごろにはすでに発行されていたことは確実。のちに伊勢から頒布された伊勢暦におされて発行部数はわずかになってしまった。
[伊勢暦]
 伊勢の宇治および山田から版行され,それぞれ内宮暦,外宮暦とも呼ばれた。…

※「伊勢暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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