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作文教育 さくぶんきょういく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

作文教育
さくぶんきょういく

文章や詩を書く表現力を,それらの表現活動や鑑賞,批評を通して発達向上させる教育。通常は国語科の一分野。いわゆる綴り方も作文の一つであるが,その他,日記,手紙,意見や感想あるいは観察文,解説文詩歌や小説などの文芸的作品の創作を含めて,広く生徒の経験するさまざまな記述的表現活動がその内容となる。ただ,作文教育は表現力指導により力点をおくものとして,生活現実を写真的に細叙することによって自分の問題を発見し,真実の追究に向おうとする生活綴り方見地からは,批判的にみられる。

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百科事典マイペディアの解説

作文教育【さくぶんきょういく】

綴方(つづりかた)とも。主に児童・生徒に文章表現力を育てる有力な教育方法。形態は手紙,日記,記録,報告,感想発表等および物語・詩,シナリオなどの文章表現指導に及ぶ。
→関連項目芦田恵之助

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世界大百科事典 第2版の解説

さくぶんきょういく【作文教育】

児童・生徒を主たる対象として,学校などにおいて意図的,計画的に文章表現の能力の育成をはかろうとして行われる教育の総称。綴方教育あるいは文章表現指導ということもある。日常生活の具体的経験を素材にして,具象的に記述したり,考えをまとめたりする生活文だけでなく,調査・観察の結果をまとめる記録文(観察文),何らかの主題についての意見をまとめる意見文,手紙やはがきを書く書簡文読後の感想を書く読書感想文,物語や詩,シナリオなどを創作する創作文などの文章表現指導もそのなかに含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

作文教育
さくぶんきょういく

文章表現力を育成する教育活動。児童・生徒の文章表現力を確実に意図的・系統的に指導して伸ばしていく実践営為として、小・中・高等学校における国語科に固有の位置を占める。[野地潤家]

位置

わが国の国語科教育においては、国語科の創始以来、あるいはそれ以前から、読むことの指導(読解指導・読書指導)が主流であった。それに対して、作文指導(書くことの指導)は、熱心に取り組まれ、模索を重ねつつ開拓がなされてはきたが、国語科に十分に根を張って定着し、本流をなすところまでは至っていなかった。しかし、国語科における作文指導の重要性は、読むことの指導と並んで、ますます高まっている。[野地潤家]

目標

児童・生徒の文章表現力の育成は、国語科教育の究極目標であり、重点目標とされている。したがって、児童・生徒は、作文学習を通じて、個別に、または相互に、さらには全体として、文章を書く生活をどのように展開し、文章を書く態度と能力をどのように伸ばし、学習・生活・個性をどのように充実させていけばよいのか。この根本課題を中心軸にして整えられなくてはならない。[野地潤家]

沿革

明治前期は、通信文・公用文など実用的な文章の指導に重きが置かれた。また題目と模範文とがあらかじめ示され、それを模倣する受動的な学習が主であった。明治後期は、先導的に自作文が目ざされはしたが、依然として範文模倣が踏襲された。技能本位のさまざまな指導法が試みられた。
 大正期に入ると、写生主義の作文指導が行われたり、芦田恵之助(あしだえのすけ)によって随意選題による作文指導が提唱されたりして、近代作文の基礎が固められた。鈴木三重吉主宰の『赤い鳥』(1918創刊)による綴方(つづりかた)指導は、児童の文章表現指導に大きい寄与をした。昭和期に入ると、生活綴方が提唱され、新生面を開拓した。1941年(昭和16)国民学校の発足とともに綴方指導の体制も整えられたが、戦時色を増し、十分に結実させるところまでには至らなかった。[野地潤家]

領域

学校における作文指導体制は、まず国語科で扱う基本領域と、他教科の指導や特別教育活動や生活指導などで扱う関連・発展領域とに分けられる。
 国語科で扱う基本領域では指導上の文章形態として、日記・通信・生活文・記録・感想・論説・説明・創作などが考えられる。これらのうち、生活文は在来作文指導の中心形態として扱われた。生活文には児童・生徒の生活上の諸経験・諸事件が、ある主題・話題・問題意識を中心に取り上げられ記述される。分量制限がなければ、指導者の処理すべき分量はかなりの枚数に上り、提出された文章(作品)ごとに表記面・表現面・内容面にわたって精細に添削し批正をしようとすると、時間上のゆとりも尽きるのが普通であった。いきおい作文指導の停滞も生じがちであった。第二次世界大戦後の作文指導においては、こうした戦前からの作品主義(できばえ主義)を、どのように克服していくかが絶えず求められた。[野地潤家]

現状と展望

学校作文では、文章表現過程(取材・構想・記述・推敲(すいこう)・批正・処理)に即して、指導の効率化が目ざされ、また生活文指導のほかに、学習活動に取材する学習作文も目ざされるようになった。小・中・高等学校ともに、文章表現指導はもっとも重視され、努力が重ねられている。
 また、学校における作文教育に対して、一般社会人を対象とした作文指導も行われている。公民館活動に取り入れられている文章教室(作文教室・作文講座)などがそれである。日本人は世界的にみても、もっともよく文章を書き、しかもよい文章を書く民族であると外国人学者(日本語学専攻)からみられている。しかし、さらに周到に指導を積み上げていかなければならない問題が多く残されている。国民教育としての作文教育は、社会生活のなかで必要に応じて、平明達意の文章をものすることのできる書き手を育てていくことが望ましい。[野地潤家]
『倉沢栄吉他編『新作文指導事典』(1982・第一法規出版) ▽野地潤家著『作文指導論』(1975・共文社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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