精選版 日本国語大辞典 「作物・造物」の意味・読み・例文・類語
つくり‐もの【作物・造物】
[1] 〘名〙
① 人間が、材料から道具などを使って作り出したもの。
(イ) 手作りの産物。
※書紀(720)雄略一六年七月(前田本訓)「秦の民を散(あか)ち遷(うつ)して庸(ツクリモノ)調(みつき)を献ら使む」
(ロ) 人工の物。
※花鏡(1424)万能綰一心事「棚の上の作り物のあやつり、色々に見ゆれ共、まことには動く物にあらず」
※極楽寺殿御消息(13C中)第四五条「なげきと申は、つくり物などをすこしもそんさし給ふべからつ」
③ 物の形を模してつくった、飾り物。賞翫用に種々の物の形につくったもの。
※看聞御記‐永享五年(1433)七月五日「草花難得之間、異形之物等立、梵祐種々造物廿二瓶進」
※宗長手記(1522‐27)上「碁盤のうへにはるは来にけり うくひすのすこもりといふつくり物」
※源平盛衰記(14C前)三「廿二日の朝、六波羅の門の前に、をかしき事を造物にして置けり。土器(かわらけ)に蔓菜を高坏にもりて、折敷にすゑ、五尺計なる法師の〈略〉かはらけの汁をにらまへて立ちたるを造りて置けり」
⑤ (③④から転じて) 似せて作ったもの。まがいもの。偽造物。にせもの。
※百丈清規抄(1462)四「是は名を書て判をせられたほどに、つくりものぢゃと云たぞ」
※清原国賢書写本荘子抄(1530)七「光曜と名に付は、知恵をかかやかすと云心也。無有と云名は空寂なりと云方也、皆作りもの也」
※吾妻鏡‐建久元年(1190)八月一六日「然者猶可レ令レ射二三流作物一、於レ有二失礼一者、忽可レ行二其咎一者」
※申楽談儀(1430)奥書「ちゃやも、をんまつりのごとし。つくり物も同」
⑨ 歌舞伎芝居の道具立。
※拾芥抄(13‐14C)上「高麗壱越調〈略〉作物」
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