保暦間記(読み)ほうりゃくかんき

改訂新版 世界大百科事典 「保暦間記」の意味・わかりやすい解説

保暦間記 (ほうりゃくかんき)

中世の歴史書。著作者は不明。正平年間(1346-70)の成立か。書名どおり保元1年(1156)の保元の乱から暦応2年(1339)の後醍醐天皇の死のころまでの武権盛衰を仏教的因果観に基づき治政得失を批判的に記述した史論。《保元物語》《平家物語》など軍記物を素材としているが,他に見えない記事も多く貴重。ただ後人による改竄と思われる部分もある。《群書類従所収
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「保暦間記」の意味・わかりやすい解説

保暦間記
ほうりゃくかんき

保元の乱 (1156) 以降,暦応年間 (1338~42) までの間の歴史を評論した書。5巻。作者は不明だが,南北朝時代戦乱に加わった武家であろうか。 14世紀中頃の作。鎌倉時代後期の幕府内部の争いについては,貴重な記事が点在する。なお,小瀬甫庵刊の同名の書物は,甫庵が朱子学的な評論を加えた改作本。『群書類従群』に所収。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「保暦間記」の解説

保暦間記
ほうりゃくかんき

保元の乱から後醍醐天皇の死去までの歴史を,武家の興亡を中心に記した書。書名は保元~暦応年間の意。著者不詳。南北朝中期の成立とされる。漢字仮名交じり文で記述は簡潔,虚飾は少ない。とくに鎌倉後期の部分は,他に類書が伝わらないため貴重。流布とともに増補され,「源平盛衰記」で補う。小瀬甫庵による増補版がある。「群書類従」所収。

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