入木(読み)ジュボク

デジタル大辞泉 「入木」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐ぼく【入木】

中国書家王羲之おうぎしが書いた字は筆勢が強く、墨が木に3分の深さにまでしみ込んでいたという故事から》書跡墨跡

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精選版 日本国語大辞典 「入木」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐ぼく【入木】

〘名〙 (「じゅ」は「入」の慣用音)
① 木の中にはいること。にゅうぼく。〔陸游‐夜聞松声有感詩〕
② (中国の晉代の書家の王羲之(おうぎし)が書いたものは墨が木に十分の三の深さまで染み込んだという「書断‐巻二・王羲之」に「晉帝時祭北郊更祝版、工人之、筆入木三分」と見える故事から) 書跡。墨跡。転じて、書道。→入木道
※本朝文粋(1060頃)一三・請修餝美福門額字告弘法大師文〈大江以言〉「露点雖消。入木之中。風勢無尽」
※評判記・色道大鏡(1678)九「筆道書に曰、夫入木(ジュホク)の道は諸法の根元、万能㝡上の源」
③ 文字を板木に彫ること。
※洒落本・遊僊窟烟之花(1802か)二「此所にて商ひ仕候のやど札は細見に入木をし」
彫刻などで、うめ木をすること。

にゅう‐ぼく ニフ‥【入木】

〘名〙
木材を納入すること。
高野山文書‐嘉吉元年(1441)八月二三日・僧宝誉書状「入木事、毎月六十荷充可賜候」

いれ‐き【入木】

〘名〙 彫刻、特に木版彫刻で、改める箇所に別の木を埋めて彫り直すこと。埋め木。
浮世草子・元祿大平記(1702)一「きのふまで文台と刻たる板も、今日は秋田といふ入れ木になり」

いり‐き【入木】

〘名〙 薪(たきぎ)

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普及版 字通 「入木」の読み・字形・画数・意味

【入木】にゆう(にふ)ぼく・じゆぼく

筆力強健。筆墨が木に染みこむ。〔説郛、八十七に引く書断〕(王羲之)晉の時、北郊に祭り版を(あらた)む。工人之れをるに、筆、木に入ること三なり。

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世界大百科事典(旧版)内の入木の言及

【入木道】より

…唐の張懐瓘撰《書断》に〈王羲之,晋帝時,祭北郊更祝版。工人削之,筆入木三分〉とあり,入木とは書聖と仰がれる東晋の王羲之が祝版(祭文)を書いたところ,筆力が盛んなため墨汁が木にしみこむこと三分にも及んだという故事による。〈入木三分〉は筆力の強いことを形容し,〈入木〉は文字を書くことから筆法,書法の意に使われるようになった。…

※「入木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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