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円理 えんりcircle principles

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

円理
えんり
circle principles

和算の一算法関孝和および建部賢弘によって始められ,安島直円らによって完成された。極限考え方を用いて円弧の長さを求める方法から出発して,円の面積体積と面積,および一般の曲線が囲む面積計算などを可能にしたもので,積分法に相当する。まず,賢弘が円周率を求める環矩術を始め,孝和は,11位まで真数に合う値を算出し,また簡単な分数に改める零約法によって7位まで真数に合う値を得た。円弧の長さ (弧背) および円弧が囲む面積 (弧積) は,I.ニュートン補間法に匹敵する方法によって求めた。球の体積および球の一部 (球闕) の体積は,球を次々に切断する求立円積術によって得られる。松永良弼以後に発展した円理の基礎をなしたものは,弧背術の無限級数展開である。円柱・円錐を切断したときの面積や体積はこうした極限の考え方を用いて解かれた。

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百科事典マイペディアの解説

円理【えんり】

和算の用語で,円周率や円弧等の計算を無限級数を用いて行う算法。円に関する計算は関孝和が進歩させたが,その弟子建部賢弘が無限級数を導入して体系化し,かつ円理の語を初めて用い,以後松永良弼,安島直円和田寧らによりますます発展して積分法に相当するものとなった。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんり【円理】

江戸初期には,円あるいは弓形についての求長,求積の方法を円理と称した。江戸中期にはマクローリン級数に相当する無限級数を円理と呼ぶようになる。幕末になると曲線,曲面に関する計算,あるいは重心を求める問題,さらにそれらを計算するときに必要な定積分表や微分法までもが円理と呼ばれるようになった。円理という用語を初めて用いたのは沢口一之で,その著《古今算法記》(1671)の中で,〈方理はえやすく,円理は明らかにしがたし〉といって,円理という用語を示している。

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大辞林 第三版の解説

えんり【円理】

和算用語。円周・円弧の長さ、円・弓形の面積、球の面積・体積を級数を用いて求め、さらにこの方法で楕円その他の曲線の長さ、曲面の表面積や体積などまでも求めようとした学問。江戸中期、関孝和・建部賢広・安島直円らによって完成された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

円理
えんり

和算において、円や弧について、直径、弦、高さなどの間に成り立つ関係をいう。円理は、沢口一之(さわぐちかずゆき)著の『古今算法記』(1671)の序文にあるのが初見で、多角形について成り立つ公式を求めるのはやさしいが、円理を知るのは困難だとある。円理の問題として有名なのは『塵劫記(じんごうき)』の遺題第10問で、与えられた円から、ある面積の弓形を切り取れという問題である。当時、円周率は3.16が使われていたが、数学者の努力により、17世紀後半には、円周率、円積率、玉率が正確に求められるようになった。18世紀の初め建部賢弘(たけべかたひろ)は(sin-1x)2のマクローリン展開に相当する公式をその著『円理弧背(こはい)術』で示した。その後、松永良弼(よしすけ)と久留島義太(くるしまよしひろ)により、逆三角関数や三角関数の無限級数展開の公式がつくられ、これらも円理とよばれる。円周率も有効数字50桁(けた)以上求められた。安島直円(あじまなおのぶ)は、円柱と円柱の相貫部の体積を二重積分で求めた。安島の孫弟子の和田寧(やすし)は数多くの定積分表を完成し、多重積分や微分についても業績を残した。これらの定積分表や微分も円理表あるいは円理とよばれる。幕末になると、懸垂線(カテナリー)やサイクロイドなど種々の曲線や、それらの曲線によって囲まれた図形、その図形の回転体が研究され、曲線の長さ、面積、体積、あるいは表面積、平面図形や立体図形の重心を求める問題が提出された。これらの問題を解くのに、和田寧の円理表が利用されるとともに、このような問題も円理とよばれた。[下平和夫]

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