円頓戒(読み)エンドンカイ

デジタル大辞泉 「円頓戒」の意味・読み・例文・類語

えんどん‐かい〔ヱンドン‐〕【円頓戒】

天台宗で、円頓妙旨に基づいて授けられる大乗戒梵網経ぼんもうきょうに説く菩薩ぼさつ。円戒。

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精選版 日本国語大辞典 「円頓戒」の意味・読み・例文・類語

えんどん‐かい ヱンドン‥【円頓戒】

〘名〙 仏語。天台宗で受持する大乗戒。法華一乗の円頓の妙旨に基づいて用いられた。梵網経に説く十重四十八軽戒。一乗円戒。
※一心金剛戒体秘決(805)上「統論円頓戒。有四種相承。一者戒体。二者戒相。三者戒法。四者戒行也」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「円頓戒」の意味・わかりやすい解説

円頓戒
えんどんかい

天台宗で奉じる大乗戒。古くは円戒。『法華経』の精神により,『梵網経』などから採用した戒。最澄により大成,実行された。この戒を授ける場所 (一乗戒壇) の開設が日本天台宗の樹立となった。しかし,この戒壇設立は,伝統的な二百五十戒 (部派仏教の戒律) を捨て比叡山が南都の支配から独立することを意味したため,南都僧綱の拒絶にあって最澄生存中に戒壇設立の勅許は得られなかった。寂後7日にして,弘仁 13 (822) 年6月に設立の勅許がおりた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「円頓戒」の意味・わかりやすい解説

円頓戒
えんどんかい

仏教用語。円戒ともいった。円頓とは円満頓速(とんそく)の意で、この戒を受け、護持することによって完全円満な人格形成が速やかに成就するとして表現された語。最澄(さいちょう)が天台宗を独立するにあたって小乗戒を捨て、『梵網経(ぼんもうきょう)』による十重四十八軽の大乗戒を受けて比丘(びく)を称することができるとした円戒がその始まりで、天台宗や浄土宗などで依用されている戒法である。

石田瑞麿

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百科事典マイペディア 「円頓戒」の意味・わかりやすい解説

円頓戒【えんどんかい】

古くは円戒。天台宗で行われる大乗菩薩(ぼさつ)の守る戒。法華によって組織された天台円教の理念と〈梵(ぼん)網経〉などによる菩薩戒三聚(さんじゅ)浄戒)との結合によって立てられた戒で,これを受けるとき,すでに成仏が約束され,これを犯すことがあっても,受けることによって得た止悪修善の原動力である戒体は失われないなどと説く。

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