分米(読み)ブンマイ

デジタル大辞泉 「分米」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐まい【分米】

中世荘園公領から徴収された年貢米
近世検地によって定められた耕地石高

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精選版 日本国語大辞典 「分米」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐まい【分米】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中世、年貢として納めた米。一反歩当たりの斗代(とだい)(=年貢徴収率)に面積を掛けて算出したもの。籾(もみ)で上納する場合は分籾という。
    1. [初出の実例]「山林流浪の行人となりて、分米の砂金にともし」(出典:九冊本宝物集(1179頃)六)
  3. 江戸時代、検地によって定められた石高(こくだか)(=公定生産高)をいう。〔地方凡例録(1794)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「分米」の意味・わかりやすい解説

分米 (ぶんまい)

(1)中世の荘園,公領において,ある耕地の年貢として納めた米のこと。荘園,公領の1反当りの年貢徴収率(斗代(とだい))にその耕地の面積を掛け合わせて算出した。例えば,5斗代の田2反180歩の分米は1石2斗5升となる。しかし年貢の内容によって異なり,籾(もみ)で納める場合は分籾,銭の場合は分銭といい,分絹,分鉄などもみられる。例えば1271年(文永8)7月日の備中国新見荘作田惣目録(〈白河本東寺百合文書〉)によれば,新見(にいみ)荘内の吉野村では,他地域とは異なって〈段別五両〉の分鉄が賦課されていた。(2)江戸時代,検地によって定められた石高(公定生産高)を指した。石盛反数を掛けて算出する。しかし《地方凡例録》に〈分米と云も石だかの事なれども,惣村方を分米とは云はず。一村の内にて上中下所々畝歩のたかと云とき,此分米何ほどと唱ふるなり〉とあるように,分米は村高を表す場合には使用されず,村内の耕地を上,中,下の田の等級ごとに集計した場合などに使われた。
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百科事典マイペディア 「分米」の意味・わかりやすい解説

分米【ぶんまい】

中世,荘園国衙(こくが)領で年貢(ねんぐ)として納めた米をいう。1反当たりの斗代(とだい)(年貢徴収率)に面積を掛けて算出するが,納めるものにより分籾(もみ)・分銭・分絹(けん)・分鉄などとされた。江戸時代には検地で定められた耕地の石高(こくだか)をいい,やはり石盛(こくもり)に反数を掛けて算出するが,多くは田畑屋敷を上・中・下などの等級に分けて集計した場合(検地帳)などに用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分米」の意味・わかりやすい解説

分米(ぶまい)
ぶまい

ぶんまい」ともいう。(1)中世において年貢米のこと。一反当りの年貢徴収率(斗代(とだい))に反別を乗じて算出された。籾(もみ)や銭で納める場合は、分籾(ぶんもみ)・分銭(ぶんせん)といった。(2)江戸時代に領主が農村支配にあたって使用した用語。内容は石高(こくだか)と同じ。一村のなかで、田畑の上・中・下の品等に応じて、その土地の公定収穫高を表すときに「分米 ○石○斗○升○合」と称した。その数値は、その田畑の広さに、石盛(こくもり)(田畑の上・中・下の品等に比例して定められる一反についての公定収穫高)を乗じて求められた。したがって石高と同じと考えてよいが、領主の惣知行高(そうちぎょうだか)や一村の惣村高のことは分米とはいわない。一村の惣高(村高)を構成する所々の田畑の広さと品等の分に比例した公定生産高を米の容積に換算してつけるという意味で、この場合の石高を分米と称したものと考えられている。

[所理喜夫]


分米(ぶんまい)
ぶんまい

分米

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分米」の意味・わかりやすい解説

分米
ぶんまい

(1) 荘園の土地1筆あたりの年貢米のこと。面積に反当収納率の斗代を掛けて得られる。 (2) 江戸時代,土地1筆あたりの石高すなわち米の反当収量。面積に反当収量の斗代 (石盛 ) を掛けて検地帳に明記した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「分米」の解説

分米
ぶんまい

中世の荘園・公領において,定田畠に賦課される年貢米の量をいい,耕地面積に斗代をかけあわせて算出した。年貢が米以外の籾(もみ)や絹などで納められる場合は,分籾・分絹と記される。近世では,個別田畑の石高を示すが総村高をいうことはなく,上・中・下の田の等級ごとの集計などに用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の分米の言及

【石高制】より

…給人の知行高は名目上は変わらないが実質は削減され,蔵入地が増加するので,給人は痛手をうけた。 分米(ぶまい∥ぶんまい)検地の際,一筆ごとに面積を測り,田畠の等級に応じて定められた石盛に基づいて計算された石高。中世では斗代(1反当りの年貢徴収率)に面積を乗じたもので,年貢高に相当する。…

【石高制】より

…給人の知行高は名目上は変わらないが実質は削減され,蔵入地が増加するので,給人は痛手をうけた。 分米(ぶまい∥ぶんまい)検地の際,一筆ごとに面積を測り,田畠の等級に応じて定められた石盛に基づいて計算された石高。中世では斗代(1反当りの年貢徴収率)に面積を乗じたもので,年貢高に相当する。…

【高】より

…鎌倉時代以来の貫高,室町後期以来の永高の名称は,太閤検地以降石高制が施行されるに及んですたれた。中世で租米量を表した〈分米(ぶんまい)〉という語が,近世になると法定収穫量を表すようになったが,この分米のことを高と呼ぶ場合も多くなった。しかし一部分の土地の石高をいう場合には依然として分米という語が使われることもあり,村全体の石高を集計した村高をいう場合には,分米といわず高といった。…

※「分米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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