精選版 日本国語大辞典 「切字」の意味・読み・例文・類語
きれ‐じ【切字】
- 〘 名詞 〙 連歌、俳諧の発句で、句末に用いて一句を独立させたり、句中に用いて一句に曲折を与えたりする、詠嘆の意をもつ語。「野ざらしを心に風のしむ身かな」の「かな」、「古池や蛙飛びこむ水の音」の「や」、「旅人と我が名呼ばれん初しぐれ」の「ん」、「塚も動け我が泣く声は秋の風」の「動け」など、終助詞や活用語の終止形、命令形などが主であるが、今日では詠嘆の意で文法的に切れる場合をすべて称している。
- [初出の実例]「発句の切字の事、もすそやぬれしよとなせり。如レ此字入候てきれ候べし」(出典:宗祇袖下(1489頃))
切字の語誌
発句に「いひきる」ことを求めるのは「八雲御抄‐一」に「発句者必可二言切一」とみえるのが早く、宗祇「白髪集」では十八の切れ字が掲げられる。「運歩色葉」には「十八切字(キレジ) 連歌 ハニトリヌルヲカレウツナクテキメシミ」とあるなど諸説あり、「表に見えぬ切字は口伝あり」〔連歌教訓〕のように秘伝的側面もあった。