別府(市)(読み)べっぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「別府(市)」の意味・わかりやすい解説

別府(市)
べっぷ

大分県中部、別府湾に臨む温泉都市。1924年(大正13)市制施行。1935年(昭和10)石垣(いしがき)、朝日の2村と亀川町を編入。平安末期、国衙(こくが)領で、特別の符宣で成立した特別区域を別符というが、この別府は石垣別符に由来する。JR日豊(にっぽう)本線が通じるが、別府駅は豊肥(ほうひ)・久大(きゅうだい)両本線特急の始発・終着駅ともなっている。別府国際観光港からは大阪、八幡浜(やわたはま)の航路を出す。東九州自動車道、国道10号、500号が通じる。大分空港との間はバスで結ばれている。

 この地は『和名抄(わみょうしょう)』の速見(はやみ)郡朝見郷(あさみごう)にあたり、『続日本紀(しょくにほんぎ)』には敵見郷(あだみごう)とあるが、熱海熱水原義と考えられている。江戸時代は大部分天領で、文化(ぶんか)年中(1804~1818)に宿屋営業を許可された家が21軒あった。明治以降、水陸交通の発達や温泉掘削技術の進歩、さらに一般的経済発展によって、温泉都市として発展、1971年(昭和46)には年間観光客1000万を超えるに至った。このような発展は、温泉が質量ともに豊富なこと、火山性扇状地(石垣原(いしがきばる))と、その裾(すそ)に続く沖積地が展開し、市街地の発達を可能ならしめ、温泉掘削を容易にしたこと、山と海の風景に恵まれていることなどによると思われる。面積125.34平方キロメートル(境界一部未定)、人口11万5321(2020)。

[兼子俊一]

『『別府温泉史』(1963・別府市観光協会)』『『別府市誌』(1985・別府市)』


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