前田河広一郎(まえだこうひろいちろう)(読み)まえだこうひろいちろう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

前田河広一郎(まえだこうひろいちろう)
まえだこうひろいちろう
(1888―1957)

小説家。宮城県に生まれる。戸籍上は「まいだこひろいちろう」と読む。県立一中中退後上京、徳冨蘆花(とくとみろか)の紹介で新紀元社に入社。のち渡米、種々の職業を転々とする一方、在米の社会主義者金子喜一と知り、英文による創作を発表した。1920年(大正9)13年間の在米生活を打ち切り帰国、総合雑誌『中外』の編集長となった。翌年アメリカ移民の帰国者の群れを描いた『三等船客』を発表して注目を集めた。その後『赤い馬車』『麺麭(パン)』(ともに1923)などの創作集を刊行、また『文芸戦線同人として、プロレタリア文学を代表する一人となった。戯曲集『黙祷(もくとう)』(1928)、評論集『十年間』(1930)、『蘆花伝』(1938)その他多数の著書がある。

[大塚 博]

『『現代日本文学大系59 前田河広一郎他集』(1973・筑摩書房)』『前田河広一郎著『青春の自画像』(1958・理論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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