(読み)ワリ

デジタル大辞泉 「割」の意味・読み・例文・類語

わり【割(り)】

割ること。また、割ったもの。「水割り」「お湯割り
歩合単位。1割は10分の1。「三打者」
比率割合。「三日に一回の割りで通う」
他と比べたときの損得。「割りのいい商売」
(「…わりに」の形で)ある事から予想・推測される程度。…に応じた程度よりは。「値段の割り品物がよい」「若い割りには礼儀正しい
割り当て。「部屋割りをする」
割引。「学割り
《「ことわり(理)」から》理由。事情。また、ぐあい。
芝居で見るような―に行かず」〈緑雨・売花翁〉
相撲で、取組表のこと。
10 仲裁
「大いざこさの中へ、大屋敷―に入り」〈咄・春帒〉
[下接語]頭割り石割り板割り内割り・押し割り・貝割り鏡割り欠き割り書き割り学割ち割り幹竹からたけ割り切り割り木割り均等割り胡桃くるみ割りくれ割り区割り・腰割り・戸数割り碁盤割りこま割り小割り時間割り宿しゅく割り地割り席割り背割り外割り台割り縦割り反別割り月割り土割り手合い割り土瓶割なし割り軒割り場所割り柱割り引き割りき割りき割り日割り二つ割り部屋割り焙烙ほうろく割り掘り割りまき割り町割り水割り三つ割り棟割り面割り役割宿割り横割り四つ割り
[類語]割合比率りつ歩合倍率定率同率低率高率レートパーセンテージ

かつ【割】[漢字項目]

[音]カツ(漢) [訓]わる わり われる さく
学習漢字]6年
カツ
刃物で切りさく。わる。「割腹割烹かっぽう割礼
別々に分ける。一部を分けはなす。「割愛割拠割譲割賦分割
〈わり〉「割合割高割安・割増料/役割均等割
[名のり]さき
難読割賦わっぷ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「割」の意味・読み・例文・類語

わり【割】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 動詞「わる(割)」の連用形の名詞化 )
    1. 割ること。分割。割ったもの。→割りの粥(かゆ)
      1. [初出の実例]「(ワリ)が漸く通る病人じゃ 米を挽割為粥也 再飯(ふたたびめし)よりもまだ重き病人なるべし 令啜程也」(出典:譬喩尽(1786)二)
    2. わりむぎ(割麦)」の略。
      1. [初出の実例]「養生に斗り江戸っ子わりを喰」(出典:雑俳・柳多留‐八九(1826))
    3. 割りあて。分配。分けて配られる金額や分量。割りまえ。
      1. [初出の実例]「割(ワリ)さへかからぬ事でござらばと」(出典:浮世草子・傾城歌三味線(1732)一)
      2. 「『これ親方、早く割をくんなせえな』『〈略〉八人に一両づつ』」(出典:歌舞伎・敵討噂古市(正直清兵衛)(1857)序幕)
    4. 寄席などの出演料。割銭。
      1. [初出の実例]「寄席のワリ(出演料)では、食って行けない現状だから」(出典:いろは交友録(1953)〈徳川夢声〉し)
    5. 幅を広くするために、布を裁って間に他の布を入れること。また、その入れる布。
      1. [初出の実例]「肩へわりの入たる袖なし羽織、前だれのこしらへ」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下)
    6. わりどこ(割床)」の略。
      1. [初出の実例]「『いくら引け過ぎでもこれでお泊りなら下のお部屋で…』『ふざけるねえ。ワリなんかをかしくって…』」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉)
    7. わりこみ(割込)」の略。
      1. [初出の実例]「今に押されて来りゃあ、割も立見もごっちゃ交ぜだ」(出典:歌舞伎・有松染相撲浴衣(有馬猫騒動)(1880)三幕)
    8. 仲裁すること。また、仲裁をする人。
    9. ( 「理(ことわり)」から ) 物事がそうなる道理。わけ。また、ぐあい。
      1. [初出の実例]「かみやげひしゃがねへとって女郎買が出来ねへといふ割(ワリ)でもねへが」(出典:洒落本・無陀物語(1781))
    10. 相撲の取組表をいう。
    11. 干潮。潮のわり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. [ 二 ] ( 出挙(すいこ)の利息をいう「把利(わり)」から )
    1. 歩合算の単位。一〇分の一。分の一〇倍、厘の一〇〇倍。
      1. [初出の実例]「於京都五わりのさんようにしやくよう申候」(出典:伊達家文書‐永正一五年(1518)一一月三日・頤神軒存奭算用状)
    2. 物と物との比率。ある数量の、他の数量に対する比。割合。
      1. [初出の実例]「つまる所は一ふくで何分づつのわりを以て、謝礼をせしめる計にて」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)
      2. 「此国の人口男子一人に女子百人といふ比例(ワリ)にもあらざれば」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
    3. さいころばくちで胴元が勝った客に支払う金の、賭金(かけきん)に対する倍数をいう語。
      1. [初出の実例]「大ぜい鉄火打をあつめ、四わり八分を七わりぐらいにして胴をとり」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)中)
    4. 他と比べてみたときの、損得のぐあい。→割りがいい割りが悪い割りが合う割りに合う
    5. 他と比べて損になること。→割りを食う
      1. [初出の実例]「上十五日があなたの娘、下十五日がわしが娘、其替り小の月はわしが方で割をききます」(出典:歌舞伎・鶴千歳曾我門松(野晒悟助)(1865)中幕)
    6. ( 形動 ) 他と比べて得になること。割合のよいさま。
      1. [初出の実例]「打たれぬ内に手を突いてあやまる方が割だらう」(出典:歌舞伎・黄門記童幼講釈(1877)序幕)
    7. わりまし(割増)
    8. ある人や物事の性格、状態などから当然想像、推測される程度。「…割りに(は)」の形で、…に応じた程度よりはの意に用いる。
      1. [初出の実例]「宿料も廉、其割(ワリ)には坐舗も清潔」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)

割の補助注記

( [ 二 ]について ) 「割」の字が用いられるのは近世以降である。これは、分割・分配の意の「割」との同音でかつ意味上近い関係が感じられたためであろう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「割」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
12画

[字音] カツ・カイ
[字訓] わる・さく・そこなう

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(害)(がい)。は把手のある大きな針で、祝を収めた器((さい))を刺し通し、その呪能を害する意。それにまた刀を加えて、ものを割裂する意をあらわす。〔説文〕四下に「剝ぐなり」とするが、剝とは獣皮を剝ぐことで、字義が異なる。宰割のように切り開くときに用いる。金文に「用(もつ)て眉壽を(もと)む」のように、求(かいきゆう)の意に用いる。

[訓義]
1. そこなう、たつ、たやす。
2. わる、さく、きりさく。
3. さきとる、きりとる。
4. 害と通じ、わざわい、もとむ。
5. わる、わりあい。

[古辞書の訓]
名義抄 サク・ヤブル・ホフル・キル・ソコナハル 〔字鏡集〕 ソコナハル・キル・ヱル・サク・ハク・ホフル・ヤフル

[語系]
声の字のうちkat、keatは声義近く、とは去勢することをいう。割にも割勢の意があり、羯kiat、kian、虔gianも同系の語である。

[熟語]
割愛・割哀・割移・割恩・割刈・割・割棄・割拠・割・割減・割刻・割削・割察・割炙・割捨・割愁・割情・割譲・割勢・割制・割青・割政・割牲・割席・割截・割絶・割塞・割断・割地・割腸・割剔・割土・割配・割剝・割髪・割半・割臂・割符・割分・割亨・割烹・割面・割裂
[下接語]
棄割・割・刳割・降割・宰割・細割・侵割・生割・切割・剪割・断割・割・剝割・披割・分割・方割・剖割・烹割

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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