平安時代末期より公家,武家,寺社などに仕えた剃髪の従者で,おもに力役に従事した。力者法師(ほつし),青法師ともいう。《貞丈雑記》巻四に〈力者は実の出家にてはこれ無く剃髪して力わざをして門跡に奉公する者なる故力者と云うなり〉とある。興福寺僧仲算(ちゆうさん)が都へ上る途中木津川で12人の力者に〈只水中ヲ舁通(かつぎとお)セ〉と下知している(《太平記》巻二十四)が,このように主人が出立の際,輿を舁ぎ,また馬を利用する場合には,馬の口を取り長刀などを持って警固し,供する者であった。
戦場で,赤松範資(のりすけ)の命で赤松貞範(さだのり)へ手紙を届けたのは〈サモ小賢(こざかし)ゲナル力者一人〉(《太平記》巻十四)であり,また1183年(寿永2)木曾義仲討伐の兵粮米,兵士役を興福寺支配下の和束杣工(わづかのそまく)に課するため現地に赴いたのは〈上力者〉である(興福寺文書)。このように単なる主人の供だけでなく,主人の命で使者の役もつとめた。近世では,剃髪せずに力役に従事する者や相撲取りを指す場合もある。
執筆者:大石 雅章
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「ろくしゃ」とも。中世,公家・武家や寺院などで力役に従う法体(ほったい)の下部(しもべ)。もともとは力持ちの意だが,中世では諸権門において駕輿丁(かよちょう)や馬の口取り,主人の警固や外出の供立ちなどに従った剃髪の従者をさす。近世では力役に従事する有髪の従者や,力士すなわち相撲取りの意で使われた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…室町時代に足利将軍家に仕え,歴代将軍の殿中にはべって,さまざまの雑用や美術工芸品の鑑定,諸芸能に従事した僧体の特別技能者たちをいう。〈同朋〉の語は,もともと仏教界に発したとみられ,〈友〉と同義に用いられるとともに,禅寺で輿舁(こしかき)の任務についた〈力者(りきしや)〉をさしたりしたが,やがて武家社会でも用いられるようになり,上記の諸任務に従う同朋衆のさきがけをなす人々の呼称となったらしい。足利将軍家に仕えた同朋衆のおこりについては,ふつう3代将軍足利義満の幼時に細川頼之(よりゆき)がはからって法師6人を選定し,これを〈童坊(どうぼう)〉などと名づけ,異風の服装で座興をもよおさせ,義満の無聊(ぶりよう)をなぐさめたのが始まりだという。…
※「力者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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