加納諸平(読み)かのうもろひら

精選版 日本国語大辞典 「加納諸平」の意味・読み・例文・類語

かのう‐もろひら【加納諸平】

江戸後期の歌人国学者通称杏仙。号柿園。夏目甕麿長男遠江の人。本居大平国学を学び、紀伊藩に仕え、のち、藩の国学所総裁。「紀伊国続風土記」を選述。他に、「柿園詠草」「竹取物語考」など。文化三~安政四年(一八〇六‐五七

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デジタル大辞泉 「加納諸平」の意味・読み・例文・類語

かのう‐もろひら〔カナフ‐〕【加納諸平】

[1806~1857]江戸末期の歌人・国学者。遠江とおとうみの人。旧姓夏目。号、柿園しえん紀伊藩に仕え、「紀伊続風土記」「紀伊国名所図絵」などを編集。著「柿園詠草」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「加納諸平」の意味・わかりやすい解説

加納諸平
かのうもろひら
(1806―1857)

江戸後期の歌人、国学者。遠江(とおとうみ)国浜名郡白須賀(しろすが)駅(静岡県湖西市)酒造業夏目甕麿(なつめみかまろ)(1773―1822)の長子。通称杏仙(きょうせん)、名は諸平。柿園(しえん)と号する。和歌山の医師加納伊竹(いちく)の養子となって紀伊藩に国学者として仕官。1821年(文政4)本居大平(もとおりおおひら)に入門した。1828年全国の歌人の詠を撰修(せんしゅう)した当時最大の歌集『類題(るいだい)和歌鰒玉(ふくぎょく)集』第1編を出版、1854年(安政1)第7編まで出版。藩命により『紀伊続風土記(ふどき)』『紀伊国名所図会』(1812〜1851)の編集に参加。熊野(くまの)の山深く旅行し実体験の歌89首を詠み、歌集『柿園詠草(しえんえいそう)』(1854)を刊行。柿園派と称せられる。1856年藩の国学所総裁となる。翌1857年6月24日卒中で急逝。和歌山湊(みなと)道場町海善寺(かいぜんじ)に葬る。歌論『万葉英風』を書き万葉精神の清新雄渾(ゆうこん)であることを強調するが、実作は万葉風に新古今風を加味した天保(てんぽう)調で、『新古今集』を称揚する。

[辻森秀英 2016年5月19日]

 賤(しづ)の男(を)がたてし煙のあと見えて椿(つばき)の巻葉霜にこほれり

『山本嘉将著『加納諸平の研究』(1961・初音書房)』

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改訂新版 世界大百科事典 「加納諸平」の意味・わかりやすい解説

加納諸平 (かのうもろひら)
生没年:1806-57(文化3-安政4)

江戸後期の国学者。通称小太郎,号は柿園。遠州の国学者夏目甕麿(みかまろ)の長子。18歳のとき紀州和歌山の医師加納伊竹の養子となる。本居大平に国学を学び,和歌山藩の藩命を受けて《紀伊続風土記》《紀伊国名所図会》の編集にあたり,のち藩に国学所が開設されるやその総裁となった。歌論の考究にも努め,晩年は〈万葉英風の道〉を目ざした。全国の歌人から和歌を募集し,それを《類題鰒玉(ふくぎよく)集》としてつぎつぎに刊行したことも彼の名を著名にした。
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朝日日本歴史人物事典 「加納諸平」の解説

加納諸平

没年:安政4.6.24(1857.8.13)
生年:文化3(1806)
江戸後期の国学者,歌人。本姓夏目。通称小太郎,杏仙,兵部など。長樹,兄瓶とも称した。号柿園。父は国学者夏目甕麿,母は末。遠江白須賀(静岡県湖西市)にて出生。父の縁で本居大平の門に入る。甕麿の死後紀州藩医加納伊竹の養子となる。天保2(1831)年藩の『紀伊続風土記』編集に召し出され,国学者として仕える。藩の内紛に巻き込まれ,友人の長沢伴雄に毒殺されかけ,発狂。病癒えてのちは長らく公務を解かれる。晩年,藩の国学所総裁となるが,間もなく急死した。家集『柿園詠草』。『類題鰒玉集』の編集刊行は全国の歌壇を大いに活性化したことで知られる。<参考文献>山本嘉将『加納諸平の研究』

(久保田啓一)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「加納諸平」の解説

加納諸平 かのう-もろひら

1806-1857 江戸時代後期の国学者,歌人。
文化3年9月生まれ。夏目甕麿(みかまろ)の長男。医学をおさめるかたわら本居大平(もとおり-おおひら)に国学をまなぶ。和歌山藩につかえ,天保(てんぽう)2年「紀伊(きい)続風土記」の編集を命じられる。のち国学所総裁に就任。和歌の門人に飯田年平らがいる。安政4年6月24日死去。52歳。遠江(とおとうみ)(静岡県)出身。通称は杏仙。号は柿園(かきぞの)。歌集に「柿園詠草」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「加納諸平」の意味・わかりやすい解説

加納諸平
かのうもろひら

[生]文化3(1806).遠江,白須賀
[没]安政4(1857).6.24. 和歌山
江戸時代後期の歌人,国学者。本姓,夏目氏。 18歳のとき和歌山の加納氏の養子となる。号,柿園 (かきぞの) 。本居大平の門下。当世歌人の作を集め『類題和歌鰒玉集』 (1828) を編んだ。家集『柿園詠草』 (53) 。

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