勘文(読み)かんもん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

勘文
かんもん

「かもん」「かんがえぶみ」とも読む。平安時代朝廷諮問に対して前例故実などを調査し,上申した意見文書。おもに太政官外記 (げき) ,史 (ふひと) ,明法 (みょうぼう) 博士陰陽 (おんみょう) 博士などが行なった。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんもん【勘文】

先例,故実,吉凶あるいは事を行う場合の日時の選定などについて,事実および意見を上申する文書。〈かもん〉ともいう。〈勘〉はかんがえるの意。勘状,勘注あるいは注進状ともいい,先例を上申したものは勘例ともいう。勘文の内容はきわめて多種類にわたるが,おおむね朝廷の諸事は太政官の外記と史が,日時・方角については陰陽道,日・月食の時刻は暦・算・宿曜道諸家が,改元年号儒家が,犯罪人の量刑については法家が勘申した。

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大辞林 第三版の解説

かもん【勘文】

かんぶん【勘文】

かんもん【勘文】

平安時代、神祇官じんぎかん・陰陽師おんようじなどが天皇などの諮問にこたえて、先例・吉凶・方角・日時などを調べて上申する文書。かもん。かんぶん。かんがえぶみ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

勘文
かんもん

「かもん」ともいう。天皇・院などの上意を受け、その裁断の資料として先例・故実を考査して提出する答申書。令(りょう)制の諸寮司が提出する諸司勘文と、明経(みょうぎょう)、明法(みょうぼう)、文章(もんじょう)、天文・陰陽(おんみょう)、暦道(れきどう)などが提出する諸道勘文の2種があった。前者の例として、主計寮勘文、主税寮勘文、率分(りつぶん)勘文などがあり、後者の例として、年号、革命、著(ちゃくだ)、服假(ぶっか)、穢(けがれ)、日時、吉凶、日月食、地震などに関する勘文がある。室町時代には武家故実に取り入れられ、将軍の諮問による勘文が徴された。[棚橋光男]
『布施弥平治著『明法道の研究』(1966・新生社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

か‐もん【勘文】

※増鏡(1368‐76頃)八「それだにも、あまり騒ぎて、御かもむ・御産衣などの入たる物は焼けにけり」

かんがえ‐ぶみ かんがへ‥【勘文】

源氏(1001‐14頃)薄雲「みちみちのかむがへふみどもたてまつれるにも」

かん‐ぶん【勘文】

太平記(14C後)二「勘文(カンブン)の表穏やかならず」

かん‐もん【勘文】

〘名〙 諸事を考え、調べて、上申する文書。平安時代以後、明法道、陰陽道など諸道の学者や神祇官、外記などが、朝廷や幕府の諮問にこたえて、先例、日時、方角、吉凶などを調べて上申したもの。勘状。かもん。かんがえぶみ。かんぶん。
※東南院文書‐延喜五年(905)一一月二日・因幡国司解「依彼寺牒旨、令郡司勘申、牒送寺家、其勘文偁」
※曾我物語(南北朝頃)七「公卿僉議ありて、博士をめしてたづねたまふ。かんもんにいはく」

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世界大百科事典内の勘文の言及

【勘文】より

…勘状,勘注あるいは注進状ともいい,先例を上申したものは勘例ともいう。勘文の内容はきわめて多種類にわたるが,おおむね朝廷の諸事は太政官の外記と史が,日時・方角については陰陽道,日・月食の時刻は暦・算・宿曜道の諸家が,改元の年号は儒家が,犯罪人の量刑については法家が勘申した。勘文の古い例として《朝野群載》所収の737年(天平9)天然痘流行のときの典薬寮の勘文は,はじめに〈典薬寮勘申疱瘡治方事〉とあり,次に予防と治療の方法を記述し,〈右依宣旨勘申〉とあって,最後に日付と勘文作製者の署がある。…

※「勘文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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