明法(読み)みょうぼう

精選版 日本国語大辞典 「明法」の意味・読み・例文・類語

みょう‐ぼう ミャウバフ【明法】

〘名〙
法律を学ぶこと。法律に通じること。
令制で、官人登用試験の一部門。日本の律令に通じた者を採用した。
令義解(718)選叙「凡秀才出身。〈略〉明法甲第大初位上」
③ 令制で、官人の種別一つ。②の部門を経て任用される。
※令義解(718)選叙「明法。取達律令
④ 令制下の学制で、大学寮に置かれた課程の一つ。天平二年(七三〇)頃に制度化されたもので、律令を学ばせた。明法道。
延喜式(927)二〇「凡得業生者、明経二人、文章二人、明法二人、算二人」
⑤ 律令など国家の定める諸法令についての学問。明法道。律学
※本朝文粋(1060頃)二・意見十二箇条〈三善清行〉「令学生四百人習五経三史、明法算術、音韻籀篆等六道
⑥ ⑤の専門家。特に、明法博士など。法家。明法道。
※続日本紀‐養老五年(721)正月甲戌「明法正六位上箭集宿禰虫万呂」

めい‐ほう ‥ハフ【明法】

〘名〙
① 法を正しあきらかにすること。また、あきらかな法度。〔史記‐始皇本紀〕
② 中国唐代の文官登用試験の科目の一つ。法律を主とするものであったが、早く衰えた。〔新唐書‐選挙志〕

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デジタル大辞泉 「明法」の意味・読み・例文・類語

みょう‐ぼう〔ミヤウバフ〕【明法】

古代りょうきゃくなど法律を講究した学問。

めい‐ほう〔‐ハフ〕【明法】

法を正し明らかにすること。
中国代の官吏登用試験の科目の一。法律を主としたもの。

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普及版 字通 「明法」の読み・字形・画数・意味

【明法】めいほう(はふ)

厳明なる法。〔史記、秦始皇紀〕普(あまね)く法を施し、天下を經(けいゐ)し(治め)、永く儀則と爲さん。大なる哉(かな)、宇縣の中、に承順す。

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世界大百科事典(旧版)内の明法の言及

【考試】より

…時務策2条と《文選》《爾雅》を試験して,及第の甲第は従八位下,乙第は大初位上に叙した。(4)明法(みようぼう)は律令に通達したものを採り,律令10条を試験して,及第の甲第は大初位上,乙第は大初位下を授けた。そして秀才・明経上中第以上で,蔭位(おんい)資格をもつか,孝悌によって表賞されたものは,その蔭位・成績による叙位に1階を加えて叙し,また明経で二経以上に通じたものは,一経を加えるごとに1階を加算した。…

【科挙】より

…従来科挙は次代煬帝(ようだい)の大業年間(605‐618)に創始されたと考えられてきたが,これは誤りである。
[変遷]
 唐は隋制を受け,科挙に秀才,進士,明経,明法その他の科目を設けた。秀才には政治上の意見などを問う策論を課するが,採点が厳しすぎて合格者がなくなり廃止された。…

※「明法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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