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北海道旧土人保護法 ホッカイドウキュウドジンホゴホウ

デジタル大辞泉の解説

ほっかいどう‐きゅうどじんほごほう〔ホクカイダウキウドジンホゴハフ〕【北海道旧土人保護法】

明治32年(1899)日本政府がアイヌ民族保護を名目に制定した法律。土地を給付して農耕民族化を進め、日本民族との同化を推し進めた。平成9年(1997)廃止。→アイヌ文化振興法

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百科事典マイペディアの解説

北海道旧土人保護法【ほっかいどうきゅうどじんほごほう】

北海道開拓の犠牲となり,疲弊したアイヌ民族に対し,和人(日本人)の視点からの救済・保護を目的とした法律。1899年(明治32年)制定。同化と農耕化を前提に,一戸あたり最大1万5000坪(約5ha)の土地の給付,生活保護,小学校の設置などを主な内容とする。
→関連項目アイヌドーズ法

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世界大百科事典 第2版の解説

ほっかいどうきゅうどじんほごほう【北海道旧土人保護法】

明治維新以後,和人の進出や開拓政策のためにその生活圏を侵食され,窮迫を深めたアイヌの人々に対し,土地の確保と農耕の奨励,教育の普及などを目的として制定された法律(1899制定施行)。旧土人とは1878年の開拓使の達(たつし)によって統一されたアイヌに対する呼称である。農業に従事しようとするアイヌに対して1万5000坪(5ha)以内の土地を無償下付できること,ただし売買・譲渡・質入れの禁止など所有権に制限を加えること,アイヌ共有財産その他の財源によって補助や救恤(きゆうじゆつ)を行うこと,アイヌの集落をなした場所に小学校を設置できること,などが法律の骨子である。

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大辞林 第三版の解説

ほっかいどうきゅうどじんほごほう【北海道旧土人保護法】

政府の開拓政策や和人の進出により生活基盤を奪われたアイヌ民族の同化・農耕化を前提とした保護のため1899年(明治32)に制定された法律。アイヌ文化振興法の制定により1997年(平成9)廃止。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

北海道旧土人保護法
ほっかいどうきゅうどじんほごほう

1899年(明治32)に制定されたアイヌ政策に関する基本法。近代日本のアイヌ政策の特質は、アイヌの「日本人」化の強制と「日本人」社会からの排除という二重の差別構造を内在化した同化政策と規定できる。同法はそれを象徴するもので、アイヌの生活・文化に大きな影響を与えた。同法は13条から構成され、アイヌへの土地給与、農耕の奨励と初等教育の普及を通してアイヌを「開拓農民」に仕立てあげ、かつ「日本人」になるための教育を受けさせることを主目的としている。その基本理念は、同化主義の法的フィクションにすぎない「一視同仁」の天皇制思想に基づいていた。なかでも、「旧土人」小学校は、その第9条「北海道旧土人ノ部落ヲ為(な)シタル場所ニハ国庫ノ費用ヲ以(もっ)テ小学校ヲ設クルコトヲ得」を法的根拠として設立されたアイヌ児童の分離教育機関で、児童のみならず、アイヌ・コタン全体の同化中枢的機能を果たした。同小学校は全道に23校が設立されたが、そこでの教育の実態は、尋常小学3か年で学ぶ程度の内容をアイヌ児童の「能力の遅れ」を前提に4か年としたり、あるいはアイヌ語・アイヌ文化を教科目に取り入れなかったり、きわめて差別的な色彩が濃いものであった。「旧土人」という差別的呼称を冠した同法は、アイヌの「同化」とともに五度にわたる改正を経た。しかし、その存廃をめぐって北海道ウタリ協会は、1984年(昭和59)5月、現行法を撤廃し、それにかわる新法の素案としてアイヌ民族の権利保障を盛り込んだ「アイヌ民族に関する法律」(案)をまとめ、同協会総会で承認を得、北海道知事の私的諮問機関であるウタリ問題懇話会および北海道議会厚生常任委員会にそれぞれ付託され、その内容が審議された。
 また、国会では、1986年10月の中曽根(なかそね)首相のアイヌ民族の存在を否定する「単一民族国家発言」に対する当事者からの抗議を機に、同法の名称変更を骨子とする改正案を継続審議し、政府は同法の見直しを約束した。
 1994年(平成6)2月には、連立与党に「アイヌ新法」制定のためのプロジェクト・チームがつくられ、同年7月、萱野(かやの)茂がアイヌ民族として初の国会議員(参議院議員)となり、懸案だった「北海道旧土人保護法」の廃止と「アイヌ新法」の立法化に向けての作業が進められた。97年5月8日、「アイヌ新法」正式名称は「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(略称、「アイヌ文化振興法」)が、国会で成立、同年7月1日に施行され、これに伴い「北海道旧土人保護法」は廃止された。[竹ヶ原幸朗]

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世界大百科事典内の北海道旧土人保護法の言及

【アイヌ】より

…86年の〈北海道土地払下規則〉や97年の〈北海道国有未開地処分法〉によって和人に対する大規模な土地払下げが行われるなかで,アイヌは和人の入植地や市街部から離れた〈保護地〉と称する原野に強制的に移転させられた。(4)政府は98年になって,アイヌ1戸当り5町歩の土地の給与と〈旧土人〉小学校の設置を決めた〈北海道旧土人保護法〉を制定した。しかし肥沃な土地の多くはすでに和人の手に渡っていたため,〈給与地〉として与えられた土地は,多くの場合地味の悪い土地であっただけでなく,給与地に対する権利も相続以外の譲渡は禁止されるなど,本来的な所有権からはほど遠いものであった。…

※「北海道旧土人保護法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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