博物誌(プリニウス)(読み)はくぶつし(英語表記)Historia Naturalis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「博物誌(プリニウス)」の意味・わかりやすい解説

博物誌(プリニウス)
はくぶつし
Historia Naturalis

西洋で最初の百科事典編者プリニウス(大)で、77年完成。全37巻。当時の博物学の集成で、博物関係著者ローマ人146人、ほか330人の著書1000余部から2万の動植物などを選んで記述している。第1巻は総説、索引的目次、引用書目録。そして、第2巻から第37巻までは分類別に2万種の説明がある。すなわち、第2巻は自然宇宙、第3~6巻は地理人類学、第7巻は人類学・心理学、第8~11巻は動物学、第12~19巻は植物学、第20~32巻は薬剤学、第33~37巻は鉱物学金属学となっている。この書は現代科学からみれば、科学的体系と方法論、および細部に誤りが目だつが、当時から中世には権威があり、よく利用された。

[彌吉光長]

『中野定雄他訳『プリニウスの博物誌』(1986・雄山閣出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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