受・請・承(読み)うけ

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (動詞「うける(受)」の連用形の名詞化)
① 相手の動作や働きかけに反応を示すこと。
(イ) 相手の要求、命令、申し出などを承諾すること。引き受けること。
※承応版狭衣物語(1069‐77頃か)一「え否むまじうて、忽ちのうけはせねど〈略〉など契りけるに」
※今昔(1120頃か)一六「云はむ事、請(うけ)有て聞け」
(ロ) 競技、ゲーム、闘技などで、相手の攻撃を防御すること。また、する人。「攻めと受け」「受けにまわる」
(ハ) 歌舞伎十八番の「暫(しばらく)」で、花道からのせりふを舞台の二重(にじゅう)にいて受けとる公家悪(くげあく)の敵役の通称。
※雑俳・柳多留‐二五(1794)「美しいうけで国からしばらくウ」
(ニ) 能楽、または長唄の囃子(はやし)で、大鼓(おおつづみ)、小鼓、太鼓の打ち方の名称。受頭(うけがしら)、受三地(うけみつじ)、受走(うけばしり)など。
(ホ) 旅芝居などで、町触れの太鼓が帰ってきたとき、小屋で待ち受けてたたく大太鼓の称。
(ヘ) 注文をうけること。〔模範新語通語大辞典(1919)〕
② 世間の評判。おもわく。受け取られ方。
(イ) 世間の評判。人望。特に演劇で観客の反響をいうことがある。
※浮世草子・当世芝居気質(1777)一「太夫は声にはよらぬ。見物のうけばっかりをあぢいれ」
(ロ) 相手に与える感じと相手の反応。もてなし。待遇。あしらい。態度。
※浄瑠璃・躾方武士鑑(1772)八「浪人じゃと云と、強(きつ)い茶屋の受けが違ふて」
(ハ) 相手の意向などの理解のしかた。さとりかた。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「土瓶をとって『これか』『アレサどふも請(ウケ)のわりい』『ヲットしゃうちだ』ト、そばにある燗徳利をとり」
③ 物を受け取ること。他人から、なにかを手に入れること。受け取り。
※碓井小三郎氏所蔵文書‐永仁三年(1295)五月三〇日・松王法師供米請取状「請 一切経御供米事。合玖斗者。右、去年八月分、法印信顕所請之状如件」
④ 物を受けたり支えたりするもの。
(イ) 物を受け入れる設備。「新聞受け」「郵便受け」
(ロ) 支えるもの。つっぱり。「棚の受け」
(ハ) 立花(りっか)で、心(しん)、副などの枝に対して、低く横に出て全体の釣り合いをとる枝。うけえだ。
※立花秘伝抄(1688)四「往昔花を指初るに法式有、いはゆる心、正心、副、請、見越、流枝、前置、〈略〉是を七ツ枝と名付」
⑤ 相対すること。ある方向に面すること。また、面している部分。多く造語要素のように用いられる。
(イ) 能の演技の型で、正面、または、ある方向に体を向けている者が、他の方向に向きを変えること。左受(ひだりうけ)、隅受(すみうけ)、脇正受(わきしょううけ)、脇座受(わきざうけ)など。
(ロ) 建造物などで、ある方向に向いている部分。
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下「にしうけのたけれんじ、ほうぐしゃうじをほそめにあけて」
⑥ 代価を償って、一定の拘束をうけていた人や品物を引き取ること。
※歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)二幕「殊の外質屋は忙がしうござりまする。〈略〉二朱一本の兜を持って来ましたが、これは受けになりますかえ」
⑦ 保証すること。特に、貸借関係や身もとの保証をすること。また、保証する人。保証人。うけにん。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑧ 請け負うこと。
(イ) 中世、地頭、名主などが領主への年貢納入を請け負うこと。地頭請、守護請、地下請、百姓請などがある。
(ロ) 江戸時代、新田の開墾をするときに、請け負ってその土地を借り受けること。村が借り受けるときは「何々村受」と称し、個人の場合は「何々受」とした。
(ハ) =うけあい(請合)(一)②
※試みの岸(1969‐72)〈小川国夫〉「日当は元通りでいい、〈略〉一円五十銭でもいいな。請(ウ)けで行くんなら、四十三円と」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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