口語法(読み)コウゴホウ

デジタル大辞泉 「口語法」の意味・読み・例文・類語

こうご‐ほう〔‐ハフ〕【口語法】

口語文法

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精選版 日本国語大辞典 「口語法」の意味・読み・例文・類語

こうご‐ほう‥ハフ【口語法】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. こうごぶんぽう(口語文法)
      1. [初出の実例]「口語法の編纂わ急務中の急務である」(出典:日本口語法(1906)〈吉岡郷甫〉緒言)
    2. こうわほう(口話法)
  2. [ 2 ] 文法書。国語調査委員会編。大正五年(一九一六)刊。口語標準として、その文法を整理記述したもの。なお、大正六年刊の「口語法別記」は、右の口語法の各項につき、地方差や歴史的変遷について記している。大槻文彦起草

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改訂新版 世界大百科事典 「口語法」の意味・わかりやすい解説

口語法 (こうごほう)

国語調査委員会(1902年文部省に設置)編纂の文法書。大槻文彦が立案起草し,委員会の審議および上田万年以下の特別委員の整理を経て,1907年に成り16年に公刊された。これは1900年前後の言文一致運動および03年以後の口語法に関する全国的調査(1906年《口語法調査報告書》,1907年《口語法分布図》が刊行された)と相応ずるものであって,全国共通語としての口語の文法を確立する試みの一つであった。もと音,語,文の3部から成るというが,公にされたのは語の部のみである。主として,東京でもっぱら教育ある人々の間に行われる口語を標準とし,その他の地方の口語もある程度参考にされた。後の口語文法の教科書は,多少とも本書手本としたとみられる。本書には別冊付録として大槻担当の《口語法別記》があり,本書が語法の骨子のみを掲げたのに対して,各条の本文補説とともに,口語の一々について,現在各地方の差異およびこの800~900年来の語体の変遷を説いている。方言の差については,前記《口語法調査報告書》の成果が利用されたが,口語の変遷の記述は,この別記が初めてというべく,引用書目にあげられたものだけでも《古事記》(712)から《松の葉》(1703)まで166種にわたり,広く文献の間に口語要素の発見につとめたものである。今日からは年代の不当や資料の不足その他問題の点はあるが,話しことばの変遷を追う国語史の参考書として久しく用いられてきた。
口語
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「口語法」の意味・わかりやすい解説

口語法
こうごほう

(1) 話し言葉の文法,(2) 現代日本語の,話し言葉を基盤として確立している標準語の書き言葉 (口語文という) の文法,の2つの意味で用いられるが,(2) のほうが普通。 (1) の意味での純粋な話し言葉の文法の記述はあまり進んでいないが,方言文法と呼ばれているものは実質的にこれを目指している。 (2) の研究・教育は 20世紀に入って始り,国語調査委員会編の『口語法』 (1916) ,『口語法別記』 (17) が刊行された。現在一般に学校教育に取入れられているのは,橋本進吉の文法論に基づくものである。

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