吉日を選んで奏覧に供する文書。年始,政始(まつりごとはじめ),元服,改元,移徙(いし),任官,内覧始,着陣始,喪服解除など,事の改まったときに奏せられる。吉書の内容は,諸国年料米,諸神社の祭幣料,諸国不動倉などに関するものが多い。ただしその内容は,実質をともなわない儀礼的なものである。吉書を奏上する儀式を吉書奏といい,《建武年中行事》にその作法の詳細が見える。吉書の儀式は,院庁・中宮・東宮の御所・諸官衙・諸政所においても,また摂政・関白・大臣に任じた際などにも行われた。後には武家においても行われ,鎌倉時代になると,政所吉書始,問注所吉書始のことが見え,室町時代には,吉書奉行を補して吉書の作成に当たらせた。
執筆者:柳 雄太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
物事の始めを祝う儀礼において用いられる文書。その様式は儀礼の種類別に特定されていた。朝廷では年始(としはじめ)・政始(まつりごとはじめ)・代始(だいはじめ)・改元などに天皇に吉書を奏聞する吉書奏を行い、それぞれ諸国年料米解文(しょこくねんりょうまいげぶみ)・諸社祭幣料奏文(しょしゃさいへいりょうそうぶみ)や諸国不動倉開勘解文(しょこくふどうそうかいかんげぶみ)等を吉書とした。院庁(いんのちょう)・中宮(ちゅうぐう)・東宮(とうぐう)・摂関家・公卿家(くぎょうけ)などでも年始・政所始(まんどころはじめ)・内覧始(ないらんはじめ)・着陣などの儀式ごとにそれぞれの吉書を用いた。また鎌倉・室町幕府でも吉書始と称される儀式が行われ、室町幕府は神事・農桑(のうそう)(勧農)・乃貢(のうぐ)(年貢)三か条の将軍袖判下文(そではんくだしぶみ)を吉書とした。吉書の儀礼は室町・戦国時代の社会に広く普及した。
[河内祥輔]
『中野豈任著『祝儀・吉書・呪符』(1988・吉川弘文館)』
年始・政始・代替・改元・任初など,物事の始まりに際して儀礼的に取り扱う吉事に関する文書。平安中期頃の朝廷で年始などに天皇に文書を奏上する吉書奏が年中行事として定着し,のちに上皇・女院や中宮・東宮の年始や院庁始(いんのちょうはじめ),摂関家や公卿などの補任や着陣などの際にも吉書が行われた。鎌倉・室町時代になると,武家も年始や将軍に任じられた直後などに吉書始を行い,室町幕府では吉書奉行に吉書を清書させた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…吉書とは,物事の改まったのち,吉日良辰を選んで奏聞する文書である。そして吉書を奏覧する儀式を朝廷では吉書奏といったが,武家でもこの儀にならって,将軍が吉書に判(花押)をすえる儀式を吉書始と称した。…
※「吉書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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