出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道北部,天塩川上流部にある盆地。天塩山地,北見山地にはさまれて南北に細長く,智恵文(ちえぶん)丘陵以北の美深(びふか)盆地,名寄市街のある狭義の名寄盆地,士別丘陵以南の士別市街のある剣淵盆地に三分される。盆地の標高は100~160m。開拓は,天塩川をさかのぼって入植が行われた1897年以降で,99年士別に1村,剣淵に2村の屯田兵村が設けられ,1903年に旭川からの鉄道が名寄まで延長されてしだいに発展した。南部の上川盆地に比べると,夏の気温の差はわずかであるが,融雪期が約2週間遅く,農耕期間が短いため畑作経営に馬耕が不可欠であった。第1次大戦時にジャガイモ,豆類などの輸出農産物が好況を呼んだが,大戦後には畑作は低迷し,水田化が進んだ。第2次大戦前,南部はジョチュウギクの特産地であったが,戦後は化学殺虫剤の普及により減少した。盆地南部では米作が行われるが,北部はその北限地帯にあたるため酪農と木材産業を中心に,ジャガイモ,テンサイなどの畑作が行われる。宗谷本線,国道40号,239号,275号線が通じる。
執筆者:奥平 忠志
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北海道中央部北寄りに位置し、天塩川(てしおがわ)上流域に開ける盆地。東の北見山地、西の天塩山地の間に南北に長く横たわり、構造的には北の頓別(とんべつ)低地、南の上川(かみかわ)盆地に連なって北海道中央部を南北に走る低地帯の一角を形成している。盆地床の標高は100~160メートル、天塩川が剣淵(けんぶち)川、名寄川などの諸支流を集めて北流し、その河岸段丘が智恵文(ちえぶん)と士別付近で台地状に張り出して、北から美深盆地(びふかぼんち)、狭義の名寄盆地、剣淵盆地に区分することができる。寒暖差の著しい内陸的気候を示し、冬は上川盆地とともに道内低地ではもっとも低温となる。盆地床は大正期に造田が進み、剣淵盆地は泥炭地であったが、第二次世界大戦後に土地改良が進み、美深盆地は水稲の北限地となっている。林業地帯を控えて木材関連工業が立地している。
[岡本次郎]
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