名越切通(読み)なごえきりどおし

日本歴史地名大系 「名越切通」の解説

名越切通
なごえきりどおし

鎌倉七口の一つ。鎌倉と三浦半島とを結ぶ重要な道で、大町おおまち逗子ずし久木ひさぎにまたがる丘陵を越える。「吾妻鏡」天福元年(一二三三)八月一八日条に、北条泰時が前浜まえはまで人が殺されているのを発見し、直ちに「武蔵大路、西浜、名越坂、大倉横大路」以下の道路に警戒体制を布いて犯人を捕らえさせたと記している。この「名越坂」こそ名越切通にあたり、当時すでに重要な交通路としての役割を果していたことがわかるが、中世史料にはほとんど所見がない。文明一九年(一四八七)二月、鎌倉から三浦半島へ抜けた尭恵は「北国紀行」に「畳々たる巌をきり、山をうがち、旧跡の雲につらなれる所を過て」と述べているが、多分、名越切通のことであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「名越切通」の解説

なごえきりどおし【名越切通】


神奈川県逗子市小坪・久木、鎌倉市大町にある鎌倉七口(ななくち)の一つ。鎌倉は三方を山に囲まれ、出入りのため山に開渠(かいきょ)状の小径を通している。切り通しを含む名越路(名越坂とも)は、より南側にある小坪路とともに、かつては鎌倉から三浦半島へ通じる数少ない陸路であった。鎌倉側の地域名ともなっている「名越」の名は、この道が峻険で「難越(なごし)」と呼ばれたことに由来するといわれる。鎌倉幕府にとって衣笠城を拠点とする三浦氏一族は大変な脅威であったことから、ここは防衛の最重要拠点であり、鎌倉と外部との連絡路としても重要なことから、1966年(昭和41)に国の史跡に指定され、1983年(昭和58)に追加指定された。JR横須賀線逗子駅から京浜急行バス「緑ヶ丘入口」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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