(読み)はらい

  • ×祓
  • はらい はらひ
  • はらい〔はらひ〕
  • はらえ
  • はらえ はらへ
  • はらえ〔はらへ〕
  • はら・う はらふ
  • ふつ
  • 漢字項目

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

災厄,汚穢(おえ。けがれ),罪障などを祓って身心を清めるために行なう神事。解除とも書き,「はらひ」「はらえ」ともいう。また,そのとき,神に祈って誦するや,その文句を書いたお札もさす。日本上代の罪に対応する制度といえる。推古天皇以前の上代は法と宗教との未分離時代で,罪を犯した者には汚穢がついており,そのことは神を怒らすものと考えられたので,罪があると,その者に祓,すなわち汚穢の祓い落としを行なった。具体的には,神に祓具(はらえつもの)を捧げ,神主祝詞(のりと)を奏することで行なわれた。上代も後期になると,祓と合わせて,現世的な刑罰も科するようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

神に祈ってけがれを清め、災厄を取り除くこと。また、そのための神事。はらい。
罪をあがなうために出す物。
[音]フツ(漢) [訓]はらう はらえ
神に祈って、災いを払いのける。おはらい。「祓除修祓
はらえ」に同じ。→御祓(おはらい)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

神道で,穢れ・罪のある場合,身心・家・土地などを払い清めること。祓戸(はらえど)の四柱の神に祈り,大麻・榊(さかき)・塩湯などで払う。神祭の前には必ず行われ,修祓(しゅばつ)と呼ぶ。→大祓(おおはらえ)/
→関連項目雛祭

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

解除とも書き,古く〈はらひ〉または〈はらへ〉という。宗教的な罪や穢(けがれ)を除いて身心を清める方法の一つ。〈はらひ〉は他動詞〈はらふ〉四段活用,〈はらへ〉は同下二段活用の共に連用形が名詞化したもので,前者は自分で祓い,後者は他人に祓わせる意味をもつ。一般にを拭き払うように紙や麻の祓麻(はらいぬさ)で振り払う清めの所作をいうが,とくに罪や過ちに対する制裁として償い物(祓柱(はらえつもの))を科すこともあり,また禊祓みそぎはらい)()として水で身を清める方法を伴う場合もある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

はらえ(祓)に同じ。
下二段動詞はらう(祓)の連用形から
神に祈って罪・けがれ、災禍などを除き去ること。また、そのための儀式や、その祈りの言葉。おはらい。はらい。
罪を犯した者に財物を出させて、その罪をあがなわせたこと。また、その物。はらい。 死にたる者の友伴ともかきを留めて強あなかちに-せしむ/日本書紀 孝徳訓

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

罪穢(つみけがれ)や災厄を除くための行事。「ハライ」ともいう。日本古来の宗教思想である神道(しんとう)は、汚穢(おえ)を忌み、清浄をもっとも貴ぶ観念が強く、そのために祓が重んじられる。祓の起源は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、黄泉(よみ)の国(キタナキ国)の穢(けがれ)を筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の檍原(あはぎはら)において禊祓(みそぎはらえ)をなされたのに始まる。祓の方法には、水を用いる禊(みそぎ)と、祓麻(はらえぬさ)にて祓う方法とに二大別される。いずれも罪穢を、地下の世界である根(ね)の国、底(そこ)の国に追いやるのである。いやなことをば水に流すというのは祓の思想による。神道では神前に参拝するに先だって、かならず祓を行い、これを修祓(しゅばつ)という。祓詞(はらえことば)を奏し、祓麻にて祓を修するのである。また、大祓(おおはらえ)といって、定期的に6、12月の晦日(みそか)と、臨時には罪穢にあったときに行う祓がある。6月晦日の大祓を名越(なごし)(夏越(なごし))の祓という。大祓には人形(ひとがた)や茅(ち)の輪(わ)などが用いられることがある。このほか、巳日(みのひの)祓、万度(まんど)祓、六根清浄(ろっこんしょうじょう)祓、その他がある。[沼部春友]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (四段活用動詞「はらう(祓)」の連用形の名詞化)
① =はらえ(祓)①〔和玉篇(15C後)〕
※読本・椿説弓張月(1807‐11)続「琉球二顆の珠をもて祓禊(ハラヒ)し給へかし」
※蜻蛉(974頃)上「かかるほどに、はらいのほども、すぎぬらん」
③ キリスト教で、旧約時代、律法を犯した者を、呪物などによってはらったこと。のちには、清めを意味するものとなった。
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉山寨「この頃聖アントニオの禳(ハラヒ)を受けたり」
(「はらう(払)」と同語源)
[1] 〘他ワ五(ハ四)〙 神に祈って、災いや罪、けがれを払い除き、清める。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「其の穢悪(けからはしきもの)を濯(すす)き除(ハラハ)むと欲(をほ)し」
[2] 〘他ハ下二〙 (一)に同じ。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「筑紫の日向の小戸(をと)の橘の檍原(あはきはら)に往きて祓(みそ)き除(ハラヘ)たまふ」
〘名〙 (下二段活用動詞「はらう(祓)」の連用形の名詞化)
① 神に祈って、罪・けがれ・災いなどを除き払うこと。また、その儀式。神社で行なったり、水辺でみそぎをしたりした。はらい。おはらい。
※大和(947‐957頃)一四八「いかで難波にはらへしがてらまからむ」
② 特に、六月と一二月に行なわれる大祓えのこと。六月の場合は、夏越祓(なごしのはらえ)、六月(みなづき)祓ともいう。はらい。
※蜻蛉(974頃)中「心ものべがてら、浜づらのかたに、はらへもせんと思ひて」
③ 罪過を犯した者に、罪を償わせるために物を出させること。また、その品物。
※書紀(720)大化二年三月(北野本訓)「死(し)にたる者の友伴(ともかき)を留めて強(あなかち)に祓除(ハラヘ)せ使む」
④ ①を行なう場所。はらえど。はらえどの。
※蜻蛉(974頃)下「はらへなどいふところに、垂り氷いふかたなうしたり」
⑤ 幣帛(へいはく)
⑥ ①を行なう時に読むことば。祓えの詞。「中臣の祓」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内のの言及

【形代】より

…憎悪の対象を厭魅(えんみ)し死に至らせる人形代であり,〈律〉の禁ずるところである。善用の人形代には大祓での天皇・百官使用の人形代がある。一撫一吻して罪穢・病気を人形代に移し河川に流しやり平常に回帰する目的をもつ。…

【罪】より

… 日本には古来,人間による悪行とともに穢(けが)れや禍(わざわい)などをも含めた神道的な罪の観念があった。すなわち農耕を妨害して神祭りを冒瀆する天津罪(あまつつみ)や社会秩序を破壊する国津罪(くにつつみ)は前者の悪行に属するが(天津罪・国津罪),同時に死や病気,けがや出産の穢れ,天変地異など人間生活を脅かすものも罪であるとし,それらを除去して正常な状態にひきもどすためいろいろな祓(はらい)や禊(みそぎ)が必要であるとされた。日本の場合,罪は祓や禊によって容易に除去されるという意識が強く働き,先の浄土教的な罪業意識は深くは浸透しなかったといえよう。…

【罰】より

…その代表的なものが唐の律であるが,この考え方の基調は大化改新以後の日本にも導入された。 日本では,古く〈つみ〉を犯した者は〈はらい()〉によって〈けがれ〉を浄(きよ)めなければならないと考えられた。〈はらい〉の方法には水浴や,爪髪を切り捨てることのほかに,臼や太刀などを神前に供えて神の怒りを和らげその赦しをこう方法などがあった。…

【祓】より

…宗教的な罪や穢(けがれ)を除いて身心を清める方法の一つ。〈はらひ〉は他動詞〈はらふ〉四段活用,〈はらへ〉は同下二段活用の共に連用形が名詞化したもので,前者は自分で祓い,後者は他人に祓わせる意味をもつ。一般に塵や埃を拭き払うように紙や麻の祓麻(はらいぬさ)で振り払う清めの所作をいうが,とくに罪や過ちに対する制裁として償い物(祓柱(はらえつもの))を科すこともあり,また禊祓(みそぎはらい)()として水で身を清める方法を伴う場合もある。…

※「祓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

懈怠

仏教用語。仏道修行に励まないこと。怠りなまけること。六大煩悩の一つあるいは二十随煩悩の一つとして数えられる。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

祓の関連情報