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呼吸鎖 コキュウサ

大辞林 第三版の解説

こきゅうさ【呼吸鎖】

呼吸によって生じた水素がミトコンドリア内の一連の酵素に次々と受け渡され、最後に、外から取り込まれた酸素と結合して水となる過程。また、それに関与する酵素系。 → 電子伝達系

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

呼吸鎖
こきゅうさ

酸素呼吸をしている生物では、有機物中の水素は終局的には酸素により酸化されて水になるが、このとき、有機物中の水素が直接酸素によって酸化されるのではなく、多くの場合、まず水素はNAD+またはNADP+に受け継がれ、一連の酸化還元酵素による電子伝達系の作用により、最終的に酸素に伝えられて水が形成される。この経路はミトコンドリア内膜に存在する四つのタンパク質複合体からなり、呼吸鎖(またはミトコンドリアの電子伝達系)という。その過程の概略は以下のとおりである。複合体はNADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ複合体で、FMNとFe-Sタンパク質を含み、NADHからの電子をユビキノンへ伝達する。複合体はコハク酸‐ユビキノンオキシドレダクターゼでFADとFe-Sタンパク質をもち、電子をユビキノンに伝達して還元型(ユビキノール)とする。ユビキノールからの電子は複合体(ユビキノール‐チトクロムcレダクターゼ)を経てチトクロムcに、次に複合体(チトクロムcオキシダーゼ)を経て酸素に伝達される。この電子伝達の過程で生じるプロトン勾配がATP合成酵素の作用を促進し、ATP(アデノシン三リン酸)が形成される。このリン酸化を酸化的リン酸化あるいは呼吸鎖リン酸化という。好気性細菌の細胞膜にもミトコンドリアと類似の呼吸鎖が存在する。[飯島道子]
『内海耕慥・井上正康監修『新ミトコンドリア学』(2001・共立出版) ▽R・K・マレー他著、上代淑人・清水孝雄監訳『ハーパー生化学』原書28版(2011・丸善)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の呼吸鎖の言及

【呼吸】より

…緑色組織で光のもとで行われるグリコール酸の酸化的分解は光呼吸photorespirationと呼ばれるが,ATP生成がないから本来の呼吸とは生理学的な意味が異なる。 呼吸過程の最後の部分で,NADHやコハク酸から電子を分子状酸素に渡す経路を電子伝達系または呼吸鎖という(図6)。この系は酸化還元電位の異なる多数の成分から構成されており,電子は酸化還元電位の低いものから高いものへと流れてゆく。…

【チトクロム】より

… 含有するヘムの種類によってa,b,c,dの4群に分類され,その還元型はいずれも可視部に3本の特徴的な吸収帯(長波長側から順にα,β,γ帯)をもつ。真核細胞のミトコンドリア,原核細胞の細胞膜に存在するチトクロムは,他の成分とともに呼吸鎖と呼ばれる連鎖的酸化還元系を構成し,呼吸基質(コハク酸などの有機酸)から電子を奪って酸化し,それを酸素に与えて還元する電子伝達反応を行う。この反応に共役して,ADPとリン酸からATPが合成される。…

※「呼吸鎖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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