日本大百科全書(ニッポニカ) 「和寒」の意味・わかりやすい解説
和寒(町)
わっさむ
北海道中央部、上川(かみかわ)総合振興局管内の町。1952年(昭和27)町制施行。町名はアイヌ語ワットサム(ニレの木のかたわらの意)に由来する。天塩(てしお)川の支流剣淵川(けんぶちがわ)に沿って、JR宗谷(そうや)本線、国道40号が通じ、道央自動車道和寒インターチェンジがある。名寄(なよろ)盆地の最南部に位置し、東、南、西の三方を300~700メートルの山地に囲まれる。1901年(明治34)剣淵屯田兵村の公有地を民有に移したのち団体入植による開拓が始まった。山麓(さんろく)の傾斜地は1920年(大正9)ごろから約30年間ジョチュウギク栽培の中心であった。現在は天塩(てしお)川上流の岩尾内ダム(士別市)から剣和幹線用水路(けんわかんせんようすいろ)で導水、また剣淵川最上流部に貯水池があり、傾斜地を含めて水田造成が進んだが、減反政策で水稲作付率は低下し、キャベツ、カボチャなどの畑作物が補っている。南部の塩狩峠(しおかりとうげ)は三浦綾子(あやこ)の同名の小説でその名を知られ、サクラが植樹されている。ほかに三笠山自然公園、南丘森林公園、東山スキー場などの余暇施設がある。面積225.11平方キロメートル、人口3192(2020)。
[岡本次郎]
『『和寒町百年史』(2000・和寒町)』