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和市 わし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

和市
わし

鎌倉~室町時代の経済用語。初めは合意による売買の意に用いられたが,平安時代には市場で売買が円滑に行われていることを意味し,さらに相場の意となった。しかし室町時代末期に相場という言葉が現れ,和市という言葉は用いられなくなった。また江戸時代には「替」「代」の意に用いられたことがある。

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デジタル大辞泉の解説

わ‐し【和市】

古代、合意のうえでの売買のこと。のち、単なる売買をさすようになり、中世には売買価格、相場、年貢銭納の場合の換算率をさした。

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世界大百科事典 第2版の解説

わし【和市】

古代・中世において,当初は平和裡に売買を行い,相談で値段をとりきめることをいった。一方的に強引に値段をとりきめて売買を強制する強市(ごうし)に対立する言葉で,《類聚三代格》巻十九の延暦17年(798)10月19日付太政官符には〈物の時を候し,実に依て官に申せ〉とある。鎌倉期に入っても,《吾妻鏡》貞永元年(1232)12月29日条に〈次和市売買の間,姧謀の輩所々に横行す〉とあるように使用されている。

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大辞林 第三版の解説

わし【和市】

古代・中世の市場における双方の合意に基づいた売買行為。また、その合意による売買価格。相場。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

和市
わし

中世における米など諸物資の売買価格、相場、あるいは年貢物銭納に際しての換算率のこと。強市(ごうし)、すなわち売買当事者が不合意のまま行われた売買の価格に対する語。当初は売買当事者が合意した売買を意味していたが、12世紀初めの漢和辞書『類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう)』では「アキナヒカフ」と訓じ、単なる売買を意味するようになり、鎌倉~室町時代には、市などにおける年貢物や商品などの売買価格・相場をさすようになった。さらに年貢物の代銭納が活発になる13~14世紀には、米、絹、綿など年貢物を銭貨で換算する際の率を示す事例も多い。中世の和市は、物資の需給関係、使用銭貨の質、商人の価格操作などの諸条件に左右されたが、物によっては季節的、地域的な違いにより生じる価格差が大きく、米など消費物資の和市は、需要の多い京都などの都市で高く、地方では低いのが一般的であった。14~15世紀、荘園(しょうえん)領主は年貢物の銭納和市の不正を防ぐため、荘官を任命するとき、荘官に和市の公正を守るべき旨の誓約を記した起請(きしょう)文の提出を求めるようになった。中世における中央・地方の諸商品和市の安定化、一定化の傾向は、各地域内の、あるいは一国内における一定の価格機構の形成、全国的商品流通展開の方向を示唆する現象といえる。[佐々木銀弥]

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世界大百科事典内の和市の言及

【和買】より

…中国の財政用語。財政に必要な物資の民間からの買上げのことで,和市,市買ともいう。官権による強制を加えないという意味で和の字が冠せられる。…

※「和市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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