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喪乱帖 そうらんじょうSang-luan-tie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

喪乱帖
そうらんじょう
Sang-luan-tie

中国,東晋の王羲之尺牘 (せきとく) の法書 (手本) 。白麻紙を用い,双鉤填墨 (そうこうてんぼく) の技法によって,唐の貞観期に王羲之の真跡から写し取られたと思われる。行全 17行。3つの部分から成り,それぞれ初めの2字をとり,最初の8行を「喪乱帖」,次の5行を「二謝帖」,最後の4行を「得示帖」ということもある。現存する王書のうち最も信頼すべき筆跡で名品。奈良時代に将来され御府に収蔵されていた。正倉院の『搨本王羲之帖』と同類の残帖で,帖内に「延暦勅定」の印記があり,桓武天皇の内府にあったもの。のち京都の妙法院に伝わり明治初年に皇室に献上され,御物となった。現在は宮内庁三の丸尚蔵館蔵。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうらんじょう【喪乱帖 Sāng luàn tiè】

中国,東晋の書家王羲之(おうぎし)の尺牘(せきとく)5通ほどをあつめて1巻としたもの。御物。最初の尺牘の第1行に〈喪乱〉という文字があるので,この名称がつけられた。王羲之の真跡そのものでなく,唐代あるいはそれ以前の双鉤塡墨(そうこうてんぼく)であると考えられるが,王羲之の書法を十分に伝えていると思われる。〈延暦勅定〉の印がおしてあるので,かつて桓武天皇の所蔵となっていたことが明らかである。もとは正倉院に蔵されたもので,奈良時代に遣唐使によって唐から将来されたのであろう。

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大辞林 第三版の解説

そうらんじょう【喪乱帖】

王羲之の尺牘せきとくの精巧な複製。もと正倉院献納品と考えられ、宮内庁蔵。一七行、白麻紙。中国・日本を通じて羲之の真相に最も近い遺品と認められる。孔侍中帖こうじちゆうじよう

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

喪乱帖
そうらんじょう

中国・東晋(とうしん)(4世紀)の書家王羲之(おうぎし)の尺牘(せきとく)(手紙)の筆跡を集めたもの。一紙17行、長さ63センチに及ぶきわめて精巧な模写本。縦に簾(すだれ)状の筋目のある白麻紙(はくまし)に、原本を双鉤填墨(そうこうてんぼく)の手法で写したもので、唐時代の遺品と推定される。名称の由来は、本文一行目の「喪乱」の二字による。また本紙右端の紙の継目(つぎめ)に「延暦敕定(ちょくじょう)」(桓武(かんむ)天皇使用印)の印が三か所に押されている。現在、宮内庁保管。ほかに同種のものとして『孔侍中帖(こうじちゅうじょう)』(二紙九行、長さ45.5センチ、国宝、前田育徳会)、『妹至帖(まいしじょう)』(一紙二行、幅5.4センチ、個人蔵)の2点がわが国に伝存するが、『喪乱帖』はとくに保存がよく、王羲之の書法を忠実に伝える第一級の資料として名高い。これら3点はいずれも同じ巻物として奈良時代に唐から伝えられたもので、『東大寺献物帳(とうだいじけんもつちょう)』に記載する「王羲之書法二十巻」の一部と考えられる。[名児耶明]
『『書跡名品叢刊37 王羲之』(1960・二玄社)』

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世界大百科事典内の喪乱帖の言及

【王羲之】より

…今日,王羲之の真跡は一つも残っていないとされている。しかし,真筆に近いものとしては,日本に伝わる《喪乱帖(そうらんじよう)》と《孔侍中帖》とがある。これらは,隋代以前の搨摹本(とうもぼん)だといわれるが,その真跡を想像するに足る。…

【双鉤塡墨】より

…太宗(李世民)が《蘭亭序》の真本を入手してこの方法で複写させ,諸王や重臣に与えたことや,則天武后の作らせた《万歳通天真帖》などはこの例として有名である。奈良時代,日本に請来され,《東大寺献物帳》に記載のある正倉院現蔵の王羲之《喪乱帖》などはすべてこの方法によったものであるが,真跡とほとんど見分けがつかないほど精巧なことで知られている。最近では電子顕微鏡による双鉤本の鑑別が欧米で発表されている。…

※「喪乱帖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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